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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

ステージ4大腸がん 無症状なら「手術せず抗がん剤」が標準治療に JCOG

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国立がん研究センターなど研究グループ

ステージ4大腸がん 「手術せず抗がん剤」が標準治療に JCOG

  日本人のがんで最も多い大腸がんは、がんが最も進行したステージ4で転移したがんが切除不能な状態であっても、大腸の原発巣が切除可能であれば、切除手術が多く行われている。ところが、原発巣による症状がない場合には、手術をしてから抗がん剤治療を行う治療法は、手術をせずに抗がん剤治療だけを行う方法に比べて、生存期間に差はないうえ、治療に伴う合併症の頻度が高く重いことが、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の研究で分かった。

 原発巣による症状がない場合に手術すべきかどうかについては、これまで世界的にも十分な科学的根拠が示されないまま、現実には手術が多く選択されてきたという。今回の研究は、患者を二つのグループに無作為に分けて治療法による生存期間や合併症を比較したもので、抗がん剤単独治療がこれからの標準治療となることが示された。患者にとって、利益がないにもかかわらず合併症のリスクは増える不要な手術を避けることができる意味は大きい。

 米国学術雑誌「Journal of Clinical Oncology」に2月9日付で掲載された。研究をまとめた国立がん研究センター中央病院大腸外科長の金光幸秀さんらが15日、記者会見した。

「手術+抗がん剤治療群」と全生存期間で差がみられず

  日本では年間15万人以上が大腸がんにかかる。そのうち17%は、肺や肝臓などに転移がある最も進んだステージ4だ。

 大腸の原発巣と転移したがんの両方とも手術で切除することが可能であれば、切除するのが標準治療とされている。ところが、そういったケースは20%程度に過ぎず、80%程度は転移したがんが切除できないという。

 大腸の原発巣のために大出血や高度貧血などの症状がある場合には、原発巣を手術で切除する治療が行われる。一方、原発巣による症状がない場合でも切除するべきかどうかについては、十分な根拠がないにもかかわらず、多くの手術が行われてきた。

 金光さんによると、がん診療連携拠点病院のデータではステージ4の大腸がんの約9割は治癒切除が不能とされ、その半数以上は無症状だが、現実には約7割に原発巣切除の手術が行われてきた。外科医はもともと手術を選択したがる傾向にあることや患者の側にも希望するケースが多いことがその理由だという。

 今回の研究では、2012年6月から19年4月にかけ、手術をせずに抗がん剤治療だけを行うグループ82人と、大腸の原発巣を切除する手術をした後に抗がん剤治療を行うグループ78人について、分析した。

 その結果、大腸がん以外の原因による死亡も含めた全生存期間の中央値は、抗がん剤治療単独グループが26・7か月、手術後に抗がん剤治療を行うグループが25・9か月で、統計的に意味のある差(有意差)はみられなかった。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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