産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
課長が「コロナうつ」でダウン……「眠れない」から始まる心の異変
新型コロナ感染予防のため、「3密」にならないように努める日々です。企業も感染防止の消毒・検温やテレワーク拡大などで対応しています。課長に昇進して強いストレスにさらされていた41歳の加藤太郎さん(仮名)は、新型コロナに対応するため仕事のやり方の変更が重なり、精神的にダウンしてしまいました。「コロナうつ」と言っていい状態です。営業第一課長の彼が、迷いながら昨年4月の緊急事態宣言のさなかに健康相談室を訪れました。
コロナ対応で過剰ストレスに

イラスト 赤田咲子
私 :産業医で、メンタルヘルスを担当している夏目です。よろしく。
加藤課長:営業第一課の加藤です。半年前に課長に昇進して、なんとか課長職には慣れてきたのですが。
私 :それで。
加藤課長:ノルマ達成に向けて、営業の進め方を考えて、課員をマネジメントする業務ですが、自分なりに頑張ってきたつもりです。
私 :そうですか。
加藤課長:それに新型コロナ対応が加わって大変です。当然ですが、初めてのことが多くて。窓口対応と顧客の訪問営業がありますが、窓口業務は、マスクや消毒、顧客との間にパーテイションをつけて対応しています。ただ、顧客企業への訪問は難しくなりました。電話やメール、ウェブ会議システムを使っています。初めてのことなので、準備や進め方にも神経を使いました。
私 :そうか、初めてのことだからね。
加藤課長:いっぱい、いっぱいな感じですよ。
私 :ストレス過剰になった。
コロナ禍でも出勤、営業のやり方を変えた
加藤課長:これまでやってきた営業とは勝手が違って、その指導もなかなか難しいところがあります。私のセクションでは、基本的にはみんな出勤しているのですが、外回りができなくなり、慣れないこともあって、逆に業務量が増えて、コロナの前よりも残業することが多くなりました。
私 :眠れますか?
加藤課長:体は疲れていても頭はカリカリして寝つけません。
私 :わかるよ。
加藤課長:寝よう、寝ようと思えば思うほど、頭がさえます。思い余って、酒の力を借りました。日本酒を飲んで眠っています。
私 :寝酒は良くないよ。
加藤課長:眠れないので。
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