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コロナに負けず、健康二次被害を防ごう! 大阪で「フレイルの日」記念講演会
2月1日の「フレイルの日」に合わせて、「コロナに負けるな!フレイルの日記念講演会2021」(スマートウエルネスコミュニティ協議会、日本老年学会、日本老年医学会など主催)が1日、大阪府高石市で開かれた。
「フレイルの日」は、要介護になる前の状態「フレイル」について考えてもらおうと昨年制定された。
顕在化する「コロナ・フレイル」
当日午前に開かれたウォーキングイベントには、市民約400人が参加。午後からの講演会場は感染防止対策を徹底し、「3密(密閉・密集・密接)」を避けるため、来場者を110人に抑えた。オンラインでも中継され、500人程度が視聴した。
講演会の冒頭、高石市の阪口伸六市長が、「コロナ禍でも感染予防に気を配りながら、市民ぐるみでウォーキングなど健康づくりを続けてきた結果、国民健康保険の医療費が下がるなどの効果が出てきている」とあいさつした。
続いて、スマートウエルネスコミュニティ協議会の大内尉義理事長が、「フレイル予防には栄養、運動、人との交流が大切。だが現状では、新型コロナ感染予防のため外出自粛が続いて高齢者の体力や筋力などが低下することで、『コロナ・フレイル』と呼ばれる状態になっている」と指摘した。

「フレイルの日」制定の意義などを話す大内尉義理事長(2月1日、大阪府高石市の「アプラたかいし」で
感染対策しつつ高齢者の外出増やす工夫を
また、「人生100歳時代を元気で生き抜こう!」と題して講演した同協議会副理事長の久野譜也・筑波大学教授は、「コロナをうまく乗り切らないと、100歳時代を元気に迎えるという目標も難しくなる。コロナに感染しないだけでなく、外出自粛による体力低下など健康二次被害に陥らないことが大切だと理解してほしい」と訴えた(下図参照)。

講演する久野譜也・筑波大教授
高齢者約1000人を対象に行った調査では、外出自粛後9か月で、31%の人が「同じことを何度も聞いたり、物忘れが気になったりするようになった」と回答。久野教授は「外出自粛の長期化により、認知機能の低下などの悪影響が出てきている」と報告した。
さらに「子が高齢の親を心配して、『とにかく外に出ないで』と止めている例が多い。高齢者のフレイルを防ぐには、徹底的な感染対策をしながら、人と関わる場をどう作っていくかが重要。ずっと我慢の生活ではなく、いかに笑顔のある生活を楽しむかを工夫することが大切で、それがコロナに感染しないことにつながる」と呼び掛けた。
また、国立長寿医療研究センターの荒井秀典理事長は、「新型コロナウイルスは、エアロゾル(微少飛まつ)による感染があるため、手洗い、マスクだけでなく、換気が必要だ」と説明。「過剰な外出自粛により、社会とのつながりが希薄になることで、体力が失われてフレイルになり、要介護状態に陥ってしまう。『社会とのつながり』が今後の課題として非常に大きい」と話していた。
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