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武井明「思春期外来の窓から」

医療・健康・介護のコラム

トイレも一緒、帰宅後もSNSで…仲良しグループ 中2女子が突然、不登校になったわけ

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「誰にでもあることよ」とお母さんは…

 美咲さんは、女子の友だち付き合いの大変さを、受診する前、お母さんにすでに相談していました。

 その時のお母さんの言葉は、
 「誰にでもあることよ。しっかりしなさい」
 「どうしてそんな子と付き合うの?」
 「女の子って、そういうものよ」

 というもので、軽くあしらわれてしまうだけでした。そのため、美咲さんは、自分のこころのなかにつらい気持ちをため込むようになり、そのうち、頭痛や腹痛が表れるようになったようです。

 お母さんとも面接しました。お母さんは、とにかく、美咲さんに強くたくましくなってほしかったようです。それで、十分に本人の話を聞かないまま、お母さんなりに励ましてきたつもりだったそうです。

友だち「いなかったら寂しいものですね」

 しかし、通院することになり、お母さんは、美咲さんをまず十分休ませてあげることが大切だと考えるようになりました。そして、美咲さんが話しかけてきたら、後回しにせず、時間をかけて話を聞いてあげるようにしました。美咲さんは少しずつ、自分の本音を母親の前で出せるように変化していきました。

 夏休み明けの美咲さんは、時々休みながらも登校できるようになりました。

 この頃の美咲さんは、
 「友だちは、いたら煩わしいけど、いなかったら寂しいものですね」
 と述べています。

思春期女子の仲間関係の難しさ

 思春期の女子は、教室での仲間関係のなかに自分の居場所を求めます。そして、お互い一緒に行動し、秘密を打ち明け合い、うわさ話をすることで結びつきを強くし、仲間は、いつも自分の味方になってくれる存在となります。

 しかし、この仲良しグループは排他的で、グループ外の人たちを無視することもあります。そのため、彼女たちは仲間はずれになることを非常に恐れます。そうならないために、グループ内の仲間の態度や表情から、相手の気持ちを読み取ることを求められるわけです。人生のなかで、最も対人スキルを求められる時期といえるかもしれません。

お母さん、話を聞いて

 教室での人間関係に疲れてクタクタになって帰宅する彼女たちに対して、お母さんたちは、厳しい言葉をあびせることが少なくないようです。お母さんたちも一度は経験したはずなのに、人生の先輩として相談相手にはなってくれません。

 思春期の女子が友だち関係の悩みについて相談してきたら、大人は簡単に片づけたりするのではなく、「人生のなかで最もコミュニケーション技術が求められる思春期」の大変さに、じっくりと耳を傾けてあげることがまず必要ではないかと思います。(武井明 精神科医)

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takei-akira_prof

武井 明(たけい・あきら)

 1960年、北海道倶知安町生まれ。旭川医科大学大学院修了。精神科医。市立旭川病院精神神経科診療部長。思春期外来を長年にわたって担当。2009年、日本箱庭療法学会河合隼雄賞受賞。著書に「子どもたちのビミョーな本音」「ビミョーな子どもたち 精神科思春期外来」(いずれも日本評論社)など。

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2件 のコメント

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全く同じです

なつ

中3女子の娘に、理由がはっきりしない抜毛の症状がでてます。母親の私に何度か相談してくれてますが、私がきっとうまく受け止めてあげられていないのだと...

中3女子の娘に、理由がはっきりしない抜毛の症状がでてます。母親の私に何度か相談してくれてますが、私がきっとうまく受け止めてあげられていないのだと思います。やはり、励まし、アドバイスのつもりで助言してしまいます。他人の悩みなら、傾聴や共感ができるのに、娘になると、そのうえで、「ママも経験あるけれど、人生においてはちっぽけな悩み。もっといろいろなことに目を向けよう」などと言ってしまいます。本人にとっては大きな悩み事と頭ではわかっているのに。これからは、本人の話を、アドバイスなどせずに、まずはしっかり聞いて共感しようと思います。

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女の子の人間関係は難しいです

ママン

娘は小3ですが、既に似たような状況です。クラス替えがあって1週間、突然、登校しぶりがあり、父親がよくよく聞いたところ、女子特有のお友達関係の悩み...

娘は小3ですが、既に似たような状況です。クラス替えがあって1週間、突然、登校しぶりがあり、父親がよくよく聞いたところ、女子特有のお友達関係の悩みでした。小さい頃から、女の子同士で固まらず、男女関わらず楽しく遊ぶタイプだったので、女子特有の排他的なグループを作るのはなじまないようです。グループを作る女の子たちも、悪いことをしている訳ではなく、ただ気の合う好きな友達との世界を楽しんでいるだけのこと。親としては、話を聞いて励ますくらいしかできないのがもどかしいです。こればかりは、本人が対人スキルを身につけ、自ら気の合う仲間を探し出すことでしか解決できないので、もっと学年が上がって、仲間外れからいじめに発展しないかがとても気がかりです。

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