武井明「思春期外来の窓から」
医療・健康・介護のコラム
トイレも一緒、帰宅後もSNSで…仲良しグループ 中2女子が突然、不登校になったわけ
こころが激しく揺れ動く思春期の子どもたち。彼らのこころの葛藤を探りながら、彼らに寄り添い、こころの成長を見守ることが、精神科思春期外来の大切な役割のひとつです。
子どもたちが思春期外来で語ることがらの大部分は、精神症状そのものではなく、日常生活のなかでのつらさや葛藤です。このコラムでは、思春期外来を受診した子どもたちを医学的な説明で理解するのではなく、そのありのままの言葉を糸口に、子どもたちの悩むこころの核心に迫りたいと思います。
朝になると頭痛や腹痛を訴え
美咲さん(仮名)は、「不登校」ということで、思春期外来を受診した女子中学生です。
小学校に入学した当初の美咲さんは、内気な子で、なかなか同級生にとけ込めませんでした。しかし、学年が上がるにつれて、休み時間を一緒に過ごしてくれる女子の友だちができるようになりました。
中学校に入学後の美咲さんは、休まず登校していました。しかし、中学2年の5月の連休明けから、朝になると頭痛や腹痛を訴え、学校を休み出しました。そのため、お母さんと一緒に思春期外来を受診しました。
診察室での美咲さんは、ほとんど話をしてくれませんでした。そのため、これまでの経過については、お母さんから話を聞きました。2週間に1度、お母さん同伴で通院することになりました。
仲良しグループと距離を置いたら…
通院を始めて2か月がたっても、美咲さんの不登校は続いています。この頃になって、美咲さんはようやく、診察室で学校でのできごとを話してくれるようになりました。
「中学2年になってクラス替えがありました。新しい友だちと、数人の仲良しのグループができました。休み時間はいつも一緒で、トイレにも一緒に行きました。放課後も一緒になって話します。帰宅後も、SNSでのやり取りを欠かしません」
言いたいことも言わず、仲間に合わせてきたそうです。しかし、この頃、こんなにもグループの女子の気持ちばかりを気にして、いつも一緒の行動をすることが嫌になったのだそうです。
「それで、仲間から少し距離を置いたら、私を誘ってくれなくなりました。無視され、休み時間もひとりぼっちになってしまいました」
美咲さんは、泣きながら話してくれました。
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