産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
悩みを人に相談できない女性……母親のグチが無意識の領域にまで浸透
「自立した女性に」、母の言葉が無意識の領域にも
児島さん:母は私に「働ける、独り立ちできる女性になりなさい。専業主婦は、耐えるしかない」「それには有名大学を卒業し、一流企業に就職すること。自立した女性になってね!」と、小学校6年頃には言われていました。母が父と口論した後ですね。
私 :小学生のころからずっとですね。
児島さん:良い大学に入るため勉強し、中高一貫校に入学。大学も有名国立大学に。母は、我がことのように喜んでくれました。
私 :母の思い通りになった。
児島さん:(自慢げに)そう、研究者になれました。入社後、ワンルームマンション生活で、自立が完成しましたよ。
私 :母親の思いやグチが、あなたの無意識の世界に刷りこまれているようですね。
児島さん:(考え込みながら)刷りこまれているか、そうかも。母の言う通りにしたから、友だちと遊ぶようなことはあまりしませんでした。
私 :友達はいないの?
児島さん:グループに入り、延々と続くおしゃべりをしないと仲間はできませんよ。そんな時間はもったいないと感じましたね。
私 :情報が入るし、和みもあるのでは?
児島さん:(嫌な表情で)男性の話題ばかりで。誰それが格好よいとか、誘われるのには、どうすれば?とか、ワイワイガヤガヤ。私、父に失望しているから、男には興味がなかったんですよ。
私 :それでは友達や仲間はできないでしょう。
児島さん:親しく話せる仲間はいません。今回、行き詰まって相談できる人がいないとわかりました。母に相談しても、「ごめんね。仕事のことは分からない」と言うばかりですから。それで先生の所に来ました。
私 :そうか。また、次回に。
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