石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」
医療・健康・介護のコラム
死亡リスクが高いのは「妻を亡くした夫」と「夫がいる妻」!?
私の患者さんの中に、夫に先立たれてから、かなり弱ってきた女性がおられます。一般的には、「妻に先立たれた夫」は元気がなくなり早死にするけれど、「夫を亡くした妻」はその後も元気で長生きすると言われています。
夫を亡くした妻は長生き
愛媛県で1996~98年に、60~84歳の男女約3100人に対して配偶者の有無や喫煙習慣、糖尿病や高血圧の治療歴など調査し、約5年後の2001~02年に、対象者の生死を確認したデータがあります。調査中に死亡した男女計約200人と生存していた約2900人を比較して、配偶者の有無などが死亡に与えた影響を分析した結果、75~84歳では、女性は夫がいる方が、いない場合に比べて死亡リスクが2.02倍高く、逆に男性は妻がいる方が、いない場合に比べて0.46倍と低くなっていました。妻を亡くした男性の死亡率は高くなるとも考えられます。この傾向は60~74歳でも同様だったようです。
調査をした医師は「夫の依存が妻に負担をかけている一方で、妻に先立たれると、夫は身の回りのことを助けてくれる存在を失い、逆に死ぬ危険性が高まる。夫が家事などを覚えて自立することが大切だ」と語っています。また、2012年の米国・ロチェスター工科大学の研究でも「妻を亡くした男性は平均よりも早死にする可能性が30%高い」との結果が出ています。男性には少しショックかもしれませんが、一般的に高齢になると、妻を亡くした夫は早死にし、夫を亡くした妻は長生きするのはもはや常識となりつつあります。
寂しさから酒量が増え、家はゴミ屋敷
食事や洗濯・掃除など普段の生活全部を妻に依存している夫は、妻に先立たれるとどう生きていっていいのかわからなくなります。自分で食事を作ることができないので、コンビニの弁当や外食に頼りがちになります。また、寂しさから酒量も増えてくるでしょう。掃除や洗濯もいいかげんになり、家はゴミ屋敷になってきます。このような状態がしばらく続くと、健康に悪いことは誰にも理解できるでしょう。
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