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石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」

医療・健康・介護のコラム

夫が「妻より早く死にたい」と考える理由

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 多くの男性が、妻よりも早く死にたいと考えているようです。実際、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の調査では「自分が先に」と答えたのは男性78%、女性50%でした。その理由は、男女とも「パートナーを失う悲しみに耐えられない」が最多、続いて「死ぬときにそばにいて欲しい」。男女の違いが際立ったのは「パートナーの介護をしたくない」で、女性でこれを選んだのは19.5%と、男性を10ポイント以上も上回っています。夫はかなり嫌われているようです。

看取ってもらえる可能性は高い

夫が「妻より早く死にたい」と考える理由

 ただ、悲観することはありません。自分が後に死にたいと思っている女性の中には、パートナーの生活が心配で、最期を 看取(みと) ってあげたいと思っている人も多いようです。老後に妻に逃げられなければ、看取ってもらえる可能性は高いでしょう。

 高齢男性が妻への願いで多いのは、「健康で長生きしてもらう」ということです。一見、妻の体を心配しているように見えますが、実際は、妻に倒れられると困るというのが本音のようです。幸いなことに、一般的に女性の方が結婚年齢は低く、長生きなので、7~8割の夫は、妻に看取ってもらえるのではないでしょうか。

生活が自立している男性でも、介護となると…

 妻に先立たれるのはつらい経験ですが、自分の生活さえ何とかできれば大丈夫でしょう。しかし、妻が脳卒中などで寝たきりになったり、認知症で 徘徊(はいかい) したりするようになると、妻の介護という重い現実がのしかかります。日ごろから生活が自立している男性でも、介護となるとかなりの負担です。まして、生活のほとんどを妻に依存しているような男性なら、途端に立ち行かなくなるでしょう。子供や親族を頼っても、すぐには都合がつかないでしょうし、長期間に及ぶと、次第に援助の手も少なくなります。

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石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)

 内科・循環器・性機能専門医。大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。大阪市内と都内で男性更年期外来を担当。主な著書に『夫源病』(大阪大学出版会)、『男のええ加減料理』(講談社)、『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略』(幻冬舎新書)など。自転車による発電に取り組む「日本原始力発電所協会」代表を務め、男性向けの「ええかげん料理」の教室を各地で開くほか、孫育てに疲れた高齢者がネットで集う「孫育のグチ帳」を開設するなど多彩な活動をしている。ホームページは「男性更年期 夫源病 石蔵文信

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