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佐藤純の「病は天気から」

医療・健康・介護のコラム

寒さで悪化する緊張型頭痛、首・肩の痛み 予防には「三つの首」を温める

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「痛みの悪循環」を避けるには

 

 天気痛・気象病外来を受診する患者さんの半分程度は、気温が下がり、冷気にあたると痛みが悪化する人たちです。特に、筋肉の強い収縮が原因である緊張型頭痛や首・肩の痛み、あるいは足腰の関節や筋肉に痛みを持っている患者さんの場合は、気温が下がることが発作の誘因になるため、冬が苦手な方が多いようです。これは、温度の低下が末梢の血管を収縮させ、筋肉や関節への血行が悪くなって柔軟性が低下し、動かすと痛みが出るためです。そして、痛みが出るために動かさないことが、さらに血行を悪化させて痛みを強くする「痛みの悪循環」を形成してしまうことが分かっています。

 このような人の場合は、入浴の際に湯船につかって、しっかりと体を温めたあとに筋肉のストレッチや軽い運動を行うようにします。この方法で、寒さで縮んでしまった筋肉や関節を緩めれば、血行改善が期待できます。

首、手首、足首の保温が有効

 

 体の冷えは、まず手足の先からはじまり、次に下半身、上半身へと広がってきます。寒さを防ぐには、「最初の冷え」を防ぐと効果的です。外気にさらされる「三つの首」、すなわち首、手首、足首の保温を心がけることで、冷えを防ぐのです。

 一方、片頭痛の患者さんは、気圧や気温の変化が大きい季節、すなわち春と秋の季節の変わり目、梅雨、台風シーズンに体調を崩す人が多く、これらの変化が比較的少ない真夏と冬のシーズンには体調が良くなる場合が多いように思われます。「冬の間は頭痛もなくスッキリして調子がいい」という発言もよく聞かれます。ただ、片頭痛の持病を持っている人は、健康な人よりも日常の活動量が少ないことが報告されています。春先になって、気温が上昇するとともに発作が出やすくなるので、それに備え、体調のよい冬の間に汗をかく程度の運動を続けることで、体に熱がこもらないような体づくりを心がけてもらっています。(佐藤純 愛知医科大学学際的痛みセンター客員教授)

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佐藤 純(さとう・じゅん)

 愛知医科大学医学部学際的痛みセンター客員教授。中部大学教授。
 1958年、福岡県久留米市生まれ。東海大学医学部卒業後、名古屋大学大学院医学系研究科で疼痛とうつう生理学、環境生理学を学ぶ。同大学教授を経て、現職。2005年より、愛知医科大学病院痛みセンターにて、日本初の気象病外来・天気痛外来を開設。

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