田村専門委員の「まるごと医療」
医療・健康・介護のコラム
「志望した大学が受け入れ拒否」「挑戦することで貴重な経験」障害を持つ学生がキャンパスライフで得たこと、感じたこと
「健康と病いの語り ディペックス・ジャパン」
障害を持ちながら大学などで学ぶ学生は、どんなことに悩み、どんなサポートを必要としているのか? キャンパスライフを通じて得た大切なものとは――。
障害を持ちながら学ぶ学生の声を集め、データベース化した「障害学生の語り」が完成し、「健康と病いの語り ディペックス・ジャパン」のウェブサイトに2021年1月、公開された。
障害を持ちながら学ぶ学生は、障害者差別解消法(2016年施行)の後押しもあって増えているが、障害の種類や程度、学校の規模や専攻などによって状況は様々という。インタビューでは、学生自身が感じた問題点に加え、他の学生との交流やサークルやバイトなどを通じたキャンパスライフで得た経験も多く語られている。一人一人の「語り」が持つ意味は大きい。1月23日には、障害学生をめぐる現状の説明や当事者が語る公開記念のオンラインシンポジウムが開かれた。
全国33人 90時間を超えるインタビューをデータベース化
当事者の語りを集めてデータベース化する活動に取り組んでいる「認定NPO法人ディペックス・ジャパン」はこれまで、がんや難病の当事者の語りなどについて、ウェブサイトで公開してきた。今回の「障害学生の語り」は八つ目になる。自身も障害を持ちながら学生生活を送った東京医科大学講師の瀬戸山陽子さんが中心となり、トヨタ財団の助成を得て、約3年がかりで完成した。
インタビューを受けてくれた当事者は、東北から九州・沖縄までの33人(男性19人、女性14人)。在学中の人を含め、20歳代がほぼ半数だが、30歳代、40歳代もいて、時代による変化も知ることができる。
障害の種類は、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、発達障害、精神障害、内部障害にわたり、複数の障害を持つ人もいる。インタビューは、手話や、指で触って言葉を伝える「触手話」の通訳者を介して行ったケースもある。合計時間は約90時間を超えるという。
公開された「語り」のデータベースは、動画やテキストで視聴できる。各人ごとに見ることができるほか、テーマ別に編集されている。進路選びなどの「入学準備」、合理的配慮を巡る大学との対話や、授業・実習などの「大学での学び」、サークルやバイト、就職活動などの「キャンパスライフ」、友人などの「人間関係」、障害学生へのメッセージ、大学や社会への要望などの「大学生活の振り返り」と、関心のあるテーマを選んで視聴することもできる(一部は準備中)。
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