今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
日本語から「い」が消えてゆく! マスク時代、あなたの発音は大丈夫?
省エネ化でアクセントも消えていく
言葉の変化は、アクセントの変化にも及びます。ギター、バイク、カレシなどの読み方は、先頭にアクセントが付いていたものが、一本調子の発音になります。これをアクセントの平板化と言います。
「部長」をどのように読むでしょうか。特にアクセントをつけず、「ぶちょう」と平板に発音していると思いますが、元々は先頭の「ぶ」にアクセントがあったのだそうです。それが変化して、今私たちが広く使っている平板化した発音になったといいます。
アクセントの平板化も省エネのたまものです。まず、アクセントの位置を覚える必要がありませんから、脳のエネルギーを節約できます。それと、実際に発音してみると分かるのですが、平板化した発音は腹筋を使わなくて済むのです。
「ギター」を平板に発音した場合と、「ギ」にアクセントを置いて発音した場合を比べてみてください。おへその辺りに手を置いて、平板化と頭にアクセントを置く発音を交互にしてみてください。アクセントがあると、おなかがキュッと動くのが分かると思います。おなかの手術をした人は、術後傷の痛みがあり、はっきりとしゃべるのが難しいのを経験します。
大きな声を出すときに、「腹から声を出せ」と言われるのもこれで納得ですね。声を出すのには、腹筋も大きく関わっているのです。
イウイウ体操
マスクとの生活は、まだまだ終わりそうにありません。対面でもオンラインでも、コミュニケーションを取るには、表情はもちろんですが、きちんとした発音も大切です。面倒くさがらずに一語一語丁寧に話し、特にオンラインだと普段しゃべっているよりもスピードを8割くらいに落としてゆっくりしゃべることが求められます。マスク生活で衰えがちな時は「イウイウ体操」を勧めます。
日本語からなくなって言っている「い」の発音と、口元を引き締める「う」を連続で、やや速く発音します。「い」は、下唇下制筋 笑筋、 大頬骨 筋、口角挙筋、 広頚 筋などの筋肉、「う」は口輪筋をそれぞれ鍛えます。
「い」の時には、口角を真横に引き、上下の歯が見えるように「いー」と声を出します。自然と首にも筋が見えるほど力が入るでしょう。「う」は、上下の唇をまん丸くとがらせて前の方にしっかりと突き出します。一緒に「うー」と声を出します。これを連続して20回、1セット1秒くらいですこし速く口をうごかします。笑顔を作っていくのにもよい体操なので、コロナ疲れを癒やしてくれると思いますよ。(今井一彰 みらいクリニック院長・内科医)
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