文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

母親が操作した駐車装置に3歳児が挟まれ…続発する死亡事故を防ぐには

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

電話しながら操作したパワーウィンドーが…

 事例2:2007年9月、3歳女児。乗用車の後部座席に乗っていて、窓から頭を出していた際に、運転手がそれに気づかず窓を閉めたために首が挟まれた。

 事例3:2010年12月、1歳11か月女児。静岡県富士市委託の保育ママが、市内の駐車場で、運転席に座ったまま約30分間、携帯電話で知人と会話し、その間に、預かった女児が車の後部座席の窓から頭を出していることを確認しないままパワーウィンドーのスイッチを操作して閉めた。女児には後遺症(低酸素による中枢神経障害)が残った。両親らが損害賠償を求めた訴訟は和解し、市が3624万円を支払った。保育ママは業務上過失傷害罪で起訴され、禁固2年執行猶予5年の有罪となった。

 2000年4月より、6歳未満の子どもを自動車に乗せる場合にはチャイルドシートの使用が義務付けられています。子どもの車内事故の調査(JAF Mate,41(6):12―14,2003)をみると、1389件のうち、ドアに手や足を挟んだ(594件)、急ブレーキ時に頭や体を強打した(391件)、パワーウィンドーに手・足・首を挟んだ(136件)などとなっており、チャイルドシートを正しく使用していれば、これらの事故はほとんど起こりません。全席にパワーウィンドーの挟み込み防止機能がついた車の使用、子どもはチャイルドシートに正しく座らせる、運転席にあるパワーウィンドーのロックスイッチをONにして、子どもが操作できないようにすることが必要です。

 自動ドアでも子どもはよく手や足を挟まれますが、首が挟まって窒息まで至ることはほとんどないと思います。

機械式立体駐車場の危険性

 機械式駐車装置は、2016年3月末の時点で、累積出荷台数は約301万台となっています。利用者等の死亡・重傷事故は、07年度以降、少なくとも32件(16年6月末まで:うち死亡事故は12件)発生しており、その中には子どもの死亡事故も3件含まれています。

 事例4:2011年6月、1歳女児。福岡市博多区のビルの立体駐車場で、母親が駐車場を閉める操作中に、頭や胸を機械と壁に挟まれて死亡した。

  事例5 :2012年4月2日午前8時、3歳男児。大阪府茨木市で、母親は車で外出するため、子ども2人(男児と7歳の姉)とともにマンションの駐車装置(3段方式昇降式)に来た。地下に止めてあった軽乗用車を出そうと可動式立体駐車場の昇降機を操作したところ、男児が、下段パレットが上昇している間に駐車装置内に立ち入って、体勢を崩して転倒し、歩廊と上昇してきた下段パレットの間に挟まれた。母親が操作盤で下段パレットを止めて下降させ、挟まれた男児を引き上げた。病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。

 予防策として、機械式立体駐車場にのぞき窓をつける、庫内を明るくする、機械の前にゲートを設置して人が入れないようにする、誰かが進入したことを検知する人感センサーを設置するなどが検討されています。動力によって開閉する機械を設置する場合には、その場所に子どもが絶対にアクセスできないようにする、または自動停止装置を設置することを義務付ける必要があります。(山中龍宏 緑園こどもクリニック院長)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

yamanaka-tatsuhiro_prof

山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

山中龍宏「子どもを守る」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事