常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
細菌感染で子宮や卵管に炎症…月経不順で発見遅れも
微熱と下腹部の痛み
Uさんは2週間前から下腹の痛みがあり、昨日から痛みが増し、今日になって37.5度と発熱もみられたため来院された。20歳代後半のUさんはコロナも心配だというが、鼻汁やのどの痛み、せきもなく味覚異常の症状もない。昼食はサンドイッチを食べることができたという。食後に痛みが強くなったわけではない様子だった。便通の状態を尋ねると、昨日も普通に便通があり、便秘も下痢もない。
ただ月経不順は中学生の時から続いており、数か月に1回しかないのが普通だと、ここに関してはあまり気にしていない様子だった。受診前には、久しぶりに月経があり、当初は腹痛を月経痛と思っていたようだ。その後2週間ほど出血がダラダラと続いているという。
早めの受診で大事に至らず
おなかを診察すると1か所に限定した痛みではなく、下腹部あたりを押すと痛みが強い。
その日は血液検査を行い、細菌性の感染を疑って抗菌薬を処方した。婦人科医による診察が必要であることを話し、翌朝少し大きい病院の婦人科に行ってもらうことにした。血液検査の結果は細菌性の感染を疑うものであった。Uさんは翌日婦人科で診察と腹部CTなど必要な検査を行い、骨盤内炎症性疾患(Pelvic Inflammatory Diseases、以下PIDと略)であると診断され、入院治療となった。思い切って仕事を休んで早めに受診してくれたため、Uさんはその後大事には至らなかった。
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腹痛や婦人科症状の軽いものは日常の中で軽視されがちですが、長く続いている場合、何か大きなものが隠れていないか、見てやる必要があります。消化器も含めた腹腔(ふくくう)内の高度診断の標準はCTで、こちらの方が手間も少なく早く撮像できますが、卵巣や子宮といった婦人科臓器の問題はMRIの方が見えやすいことが知られています。もちろん、開業医や中小病院各科レベルでの基本は超音波検査ですし、全ての医療機関に高額な画像診断機器や人材を準備することは、いろいろな事情で不可能ですので、医師と地域の中核病院の連携機能が問われます。
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