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中川恵一「がんの話をしよう」

医療・健康・介護のコラム

「なぜ、私が……」「運が悪かったとしか」 がん治療医ががんになって思ったこと

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がんが進行すると全摘、人工膀胱に

 さて、膀胱がんは1万人に1人がかかる比較的めずらしいがんで、60歳以降の男性に多く見られます。危険因子としてはっきりしているのは、工場で使う特定の化学物質を除けば喫煙だけです。男性の膀胱がんの50%以上、女性でも30%程度は喫煙のために発生するといわれます。

 がんは臓器のもっとも表面の上皮から発生して、外側に向かって広がっていきます。私の場合、「表在性がん」でしたから、内視鏡切除が可能でした。しかし、もし発見が遅れて、膀胱の筋肉の層にまでがん細胞が広がっていたとすると、全摘が必要となります。その場合、小腸の一部を切り取った上でおなかに人工膀胱を作る「回腸導管」が一般的です。

早期発見に役立つセルフチェック

 がんは自覚症状が表れにくい病気です。まして、早期では、ほとんどの場合、何も感じません。膀胱がんも同じですが、痛みを伴わない血尿が8割のケースで見られ、早期発見のサインとなります。しかし、私の場合、顕微鏡で分かるような血尿もありませんでした。脂肪肝のチェックのために自分で行っていたエコー検査で偶然に発見できたのは本当にラッキーでした。「酒飲み」→「脂肪肝」→「自己検査」→「早期発見」の流れです。

 膀胱がんの「自己超音波検査」は別としても、乳がんのセルフチェックなどはだれでも簡単にできるはずです。しかし、ある調査によると、乳がん経験のない女性の79%が「セルフチェックで見つけられる病気」と認識しながら、実際に定期的なチェックを行っている人は9%にすぎませんでした。

 日本人はもっと自分の体を大切にするべきだと思います。(中川恵一 放射線科医)

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中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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