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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

医療・健康・介護のコラム

胃ろうからも「お母さんの手料理」を食べる(上)

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 毎日、新型コロナウイルスのニュースが報道され、テレビをつけると悲しい気持ちになってしまいますね。私もいつ感染するかわからない不安の中で生活しています。昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、訪問栄養指導を中止する患者さんが何名かいらっしゃいました。一方で、管理栄養士の訪問を心待ちにしていた、あるお母さんがいました。

重い障害のある子どもと家族の暮らしを支える小児在宅医療

胃ろうからも「お母さんの手料理」を食べる(上)

1月15日に成人を迎えた琴ちゃんと一緒に

 「医療法人財団はるたか会あおぞら診療所ほっこり仙台」の田中総一郎院長の依頼で、昨年1月から、在宅医療を受けるお子さんとそのご家族に栄養指導を行っています。ほっこり仙台で訪問診療をしている患者さんは、重い障害のために口から食べることが難しいお子さんがほとんどです。胃ろうや鼻から通したチューブで栄養剤を注入しているお子さんが全体の約7割にも上ります。

 この診療所が開設されるまでは、人工呼吸器や胃ろうなどを装着した重い障害のあるお子さんを専門に診る在宅療養支援診療所は、仙台にありませんでした。一部の在宅診療所では子どもの訪問診療も行っていましたが、多くのお子さんは小児専門の病院に定期的に通院していました。風邪やおなかを壊したりして、体調が悪くなるたびに、親御さんが大きな病院に連れていっていましたが、「ほっこり仙台」なら、田中先生が往診することで、自宅で点滴などの処置を受けることができます。今年は大変雪が多いため、車いす、人工呼吸器や吸引機などを車に載せて通院するのは大変です。また、新型コロナウイルスの感染防止のためにも、大きな病院に比べて、感染リスクはずっと少なくなります。

成長とともにのみ込む機能が低下して胃ろうに

 19歳のかわいらしい女の子「琴ちゃん」に出会ったのは、昨年の春のことです。琴ちゃんは脳性まひのため歩くことや話すことができませんが、数年前まで口から普通の食事を食べていました。しかし、成長するにつれて食べ物でむせることが増えていきました。

 ある日、高熱を出して入院。 誤嚥(ごえん) 性肺炎でした。それ以降、頻繁に誤嚥性肺炎を繰り返すようになったため、2019年10月、ご両親は琴ちゃんに胃ろうを造設することを決意しました。食べることが大好きだった琴ちゃんが、栄養剤中心の食生活になることに、お母さんは胸を痛めていたと思います。

 琴ちゃんのように、重い障害のあるお子さんが、成長とともに口から食べることが困難になることはしばしばあります。背骨の発達がうまくいかず、姿勢を保つことが難しくなったり、筋肉のけいれんや緊張で、食べる機能がうまく働かなくなることなどが原因です。しかし、胃ろうを作ったからといって、「一生食べられない」と決まったわけではありません。

 田中先生は、琴ちゃんののみ込む力を確認する検査を行うことにしました。もしも飲み込む力が残っていれば、好物を工夫して食べられるかもしれません。検査当日、訪問言語聴覚士の先生とともに、私も同行して、琴ちゃんののみ込む力を確認しました。

 その結果、ムース状のものやペースト状のものであれば、スムーズにのみ込むことができました。とろみのついていない液体はむせてしまうのですが、その際の (せき) は「ゲホン! ゲホン!」と力強く、仮に少量が気管に入ったとしても、しっかりと吐き出すことができそうだと分かりました。

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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