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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

地域医療の再生へ「改革の本丸は民間病院」「都道府県が病院と契約を」

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ニッセイ基礎研究所主任研究員・三原岳さんが語るコロナ下での地域医療構想の行方

地域医療の再生へ「改革の本丸は民間病院」「都道府県が病院と契約を」

 日本は人口当たりの病床数が世界的にみて多いのに、なぜ新型コロナウイルス感染症で病床不足だと言われるのか。病気やけがの治療に対応する「急性期」の看板を掲げた医療機関が、なぜコロナの患者を受け入れることができないのか――。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、日本の医療体制の抱える問題が改めて浮き彫りにされている。日本の病床のアンバランスさをはじめとする医療の課題は、新型コロナ前から長年指摘されてきたものだが、改革の動きは緩慢そのものだ。

 医療政策・介護政策を専門とするニッセイ基礎研究所主任研究員、三原岳さんの著書「地域医療は再生するか」(医薬経済社)は、新型コロナでいったん足踏みを余儀なくされた「地域医療構想」をめぐる紆余(うよ)曲折の背景をひもときつつ、日本の医療が抱える問題解決への処方箋を示した。1月14日に開かれたオンラインイベント「医療と福祉を語る会」(患医ねっと主催)での講演内容も併せて紹介したい。

「過剰な病床の適正化」か「切れ目のない提供体制」か、目的が混在 議論混乱の元に

 地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」に向けた医療のあり方について、国の定めた計算方式に基づき、全国300余りの圏域ごとの医療需要を推計した。精神科病床などを除く「一般病床」「療養病床」を、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四つの機能に分けて、必要病床数を算出した。2014年に成立した医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県に策定が義務づけられ、全国で17年3月までに策定された。構想に基づいて具体化に向けた「調整会議」が各地で進められている。

 推計の結果は、25年時点で、病床が不足すると推定された自治体よりも病床が過剰となるとされた自治体の方が圧倒的に多い。このため策定の過程で、地域医療構想が病床削減ありきではないかとする医師会を中心とした反発が強まった。この結果、三原さんによると、47都道府県のうち過半数の29で「強制的に削減するものではない」など必要病床数は削減目標ではないことがわざわざ明記された。三原さんは、「地域医療構想は、過剰な病床の削減が目的であるとする国(主に財務省)側の説明と、あくまで切れ目のない提供体制が目的であるとする都道府県の説明と、説明が混在していることが議論の混乱を招いている」と解説する。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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