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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

医療・健康・介護のコラム

話し合って不妊治療をやめた直後に国が支援拡充 再開望む夫や親の声に苦悩

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話し合って不妊治療をやめた直後に国が支援拡充 再開望む夫や親の声に苦悩

 2021年になりました。今年も「いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ」コラムを、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、昨年のニュースでご存じの方も多いと思いますが、厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」が令和2年度第3次補正予算案によって拡充され、不妊治療の助成金について大幅な変更がありました。

2回目以降も30万円 所得制限撤廃

 変更の内容としては、これまで1回につき初回は30万円、それ以降は15万円の支給であったのが、2回目以降も30万円と金額が引き上げられたこと、助成の回数は生涯で6回までだったのが、1子ごとに6回までとなったため、2人目以降を望んで不妊治療をする場合は、これまでの助成金使用回数がリセットされ、また1回目とカウントされるようになるなど、大幅な拡充となっています。

 なかでも最も大きな変更は、夫婦の合算所得制限が撤廃されたことです。 

 これまで「助成金を使いたくても、合算所得が超えてしまって対象にならない」と残念に思う人は多く、私の元にもそうした声はたくさん届いていました。実際、NPO法人Fineが2019年2月に発表した「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」の結果(速報: https://j-fine.jp/prs/prs/fineprs_Keizaiteki_anketo2018.pdf  詳細版: https://j-fine.jp/prs/prs/fineprs_keizaiteki_anketo2018_1903.pdf )では、助成金を申請したことが「ない」と答えた人が58%いて、その理由の4割は「所得制限で受けられない」でした。つまり、全体で、治療をしている患者の約4人に1人は「所得制限のために助成を受けられていない」という事実があったわけです。

SNSで大歓迎の声

 コメントの中でも目立ったのは「うちはギリギリで所得制限を超えてしまって受けられない」というもの。また派遣やパートで働いている人の中には、それを超えないように抑えて仕事をするため、そうすると治療費を工面するのが大変だという声も多く聞かれていました。ですからこの変更は、不妊治療の助成金を受けたいと考えているカップルにとっては、特に朗報と言えます。詳細は厚生労働省のこちらのページに掲載されていますので、気になる方はぜひご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html

 ニュースを受けて、SNSでも、この拡充について大歓迎の声があちこちで見られました。けれども、中には逆に悩みを深くしている人も、ごく少数かもしれませんが、存在します。

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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