産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
新型コロナ、社会の目への不安は、無意識への「刷り込み」も関係している
新型コロナの第3波は、まだ続いています。日本の対策は、国が厳しく行動制限をかけるのではなく、基本的には自粛要請で対処してきました。つまり、国民一人ひとりに取るべき行動が任されているので、そのために悩ましく思っている人も多いことでしょう。このことを精神科医として考えてみます。
飲食営業がなくなり、困惑している
新型コロナ第3波の中でも、精神科産業医には多くの社員が相談に来ます。最近、カウンセリングの途中で、営業活動での飲食が話題になります。例えば32歳の坂巻太郎さん(仮名)もそうです。
坂巻さん:コロナ前は、日常的に営業で飲食をしていましたが、今はそういう環境ではないし、同僚や友人との飲み会も控えています。でも、仕事の上での付き合いは大切なんですよね。
私 :坂巻さん以外にも、飲みながらの商談やプライベートな飲み会をどうするかという話が出ますよ。「自粛を厳格にすれば、営業は難しいところがあります。それでも感染したら、顧客に迷惑をかけてしまうという悩みをこぼす方もいますね。
坂巻さん:やっぱりそうですよね。
二つの不安にさらされてきた
私 :感染への不安だけでなく、自粛警察のような社会の目への不安という二つの不安に、この1年近い間さらされてきました。感染したら、どう思われるのか? 医療者などへの差別も問題になっていますね。
坂巻さん:そうですね。私にも二つの不安があります。
相談に時間が取れる時は、精神科医療の専門家として、不安の意味を説明しています。ここでは社員との対話の形で紹介します。
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