産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
新型コロナ、社会の目への不安は、無意識への「刷り込み」も関係している
もし感染したら、仲間の目も気になる
社員:クラスターが出た企業名や病院、施設の名前が公表されますよね。あれを見ると、うちは大丈夫だろうかと、心配になりますよ。
夏目:だれでも感染するリスクはあるわけですが、報道されると、あたかもルール違反の告発のように受け止められてしまう面があります。
社員:そうなんですよね。注意が足りなかったみたいに思われてしまう。
私 :そうなると、企業側も感染者が出ることには神経質になりますよね。
社員:社員も、そこは気になりますよ。コロナに感染するのはもちろん嫌ですけど、世間の目、社会の目、仲間の目が気になりますね。会社の目というのもあります。
社会の目で監視されている
私 :第1波の時にも、各国が罰則付きのロックダウン(都市封鎖)のような強い措置を取る中で、日本では基本的には外出自粛要請のような国民の意思に任せる形で対策をとってきました。江戸時代に地域で年貢などの連帯責任を負わせた「五人組」や戦時下の「隣組」など相互監視が浸透しやすい社会ですね。
社員:そう言えば大学や高校の運動部で、1人が不祥事を起こせば、連帯責任で大会に出場できないというケースもありますよね。
私 :社会のシステムになっているんです。新型コロナ対策で、それが社会を覆っていて、感染とは別の不安につながっているんです。
社員:相互監視の目、社会の目です。意識しますよ。
私 :西欧では「神の目」が人を律すると言いますが、日本では「社会の目」です。
社員:そのパワー、すごい
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