しあわせの歯科医療
医療・健康・介護のコラム
子どもの食べ方や口呼吸、歯並びの問題は生涯に影響する……口腔機能発達不全症の見つけ方は?
身長や体重の増加曲線、食べる時間、口呼吸に注意を
――食べることに問題があっても、食事はしているので、問題に気づきにくいですね。幼児の発声も、成長とともに治る場合も多いと思います。口腔機能発達不全症というのは、親が気づくのは難しそうですが、何に注意をすればいいですか。
一番は身長や体重です。本来の成長曲線から随分離れている時、食べ方に問題がないか注意をしてみる。それに食べるのにかかる時間です。幼稚園や保育園で一人だけ食べ終わらないような場合とか。話す機能の場合は、聴力や発達に問題がないか鑑別も必要ですが、さ行、た行、な行、ら行の特定の音が省略されたり、置き換えられてしまったりします。
それに口をポカンと開けてないか。口呼吸になっていないかどうか。冬場に唇がカサカサに乾いて、ひび割れているようなお子さんはだいたい口で呼吸をしています。子どもを見慣れている歯科医なら、歯並びや口の状態を見れば、口呼吸かどうかわかります。特有の形になりますから。
――口腔機能発達不全症は、保険で診療が受けられるわけですが、どの歯医者さんにかかっても、診断や治療が受けられますか。
診断に加えて、唇を閉じたり舌を上手に動かしたりするためのトレーニングなどいろいろと指導のメニューがあり、乳児の場合は離乳のアドバイスも大切な要素ですから、関心を持って勉強している歯医者さんでないと少し難しいかもしれません。
日本小児歯科学会の専門医は子どもの口の専門家
――そうなると、うちの子の食べ方は大丈夫かな?と気になったら、 日本小児歯科学会の専門医や認定医 に相談した方がよさそうですね。
私たちも各地の歯科医師会の依頼に応えるために研修会を開いていきたいのですが、新型コロナウイルスの拡大で思うようには進んでいません。これから歯科医師の間にもっと広めていきたいと考えています。一般の方に知っていただくために、今回、動画セミナーを企画しました。どなたでもご覧になれるので、ぜひ、学会のサイトに入ってみてください。
木本 茂成(きもと・しげなり)
神奈川歯科大学教授(小児歯科)
1984年、神奈川歯科大卒、米国(セントルイス市)・ワシントン大学客員研究員を経て、2006年、神奈川歯科大教授。13年から同大付属病院副院長、16~20年、日本小児歯科学会理事長。日本歯科医学会の担当理事として、口腔機能発達不全症という病名の導入を厚生労働省に働きかけた。
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