子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
皮膚のトラブル(8)おむつかぶれ予防には「保湿剤」を 拭くときはこすらないよう注意
皮膚のトラブルでは、大阪医科大の森脇真一教授(59)に聞きます。(聞き手・東礼奈)
先日、生後半年の乳児を抱いた母親が来院しました。乳児は、お尻や股を洗ったり拭いたりすると痛がって泣くそうです。診ると、おむつが当たる部分の皮膚が赤くかぶれてジュクジュクしていました。
おむつかぶれは赤ちゃんの代表的な皮膚病で、皮膚科では「おむつ皮膚炎」と呼びます。おむつの中は尿、便、汗でいつも湿って不衛生な環境になりやすく、赤ちゃんの薄くて敏感な皮膚が本来の弱酸性からアルカリ性に変わるので、おむつ素材の刺激や、お尻を拭く際の摩擦などに対し過敏になります。
対策の一つは、適度なおむつ交換で、その際にワセリンなどの保湿剤を肌に塗ると予防にもなります。お尻を洗う時には水か、ぬるま湯を使い、柔らかい素材のティッシュペーパーなどでやさしく、こすらないよう注意しながらきれいに拭き取りましょう。下痢があれば、そちらを先に治す必要があります。
赤みが強い場合は、炎症を抑える亜鉛華 軟膏 やアズノール軟膏を1週間ほど塗ります。一時的に弱いステロイド外用剤を使うこともありますが、それで治らなければ、局所にカンジダ感染が起きているかもしれません。カンジダ菌は常在菌の一種で、増えると皮膚に炎症を引き起こします。
この場合、ステロイドは免疫力を抑え、かえって症状を悪化させる恐れがあるため、抗真菌剤を塗らなければなりません。外来で顕微鏡を使った検査を受ければ、容易に診断できます。
亜鉛欠乏症や手足口病の皮疹も、おむつかぶれのように見えることがあります。症状がなかなか軽快しない時は皮膚科専門医を受診しましょう。
【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。
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