後閑愛実&ゆき味「看取りのチカラ」
医療・健康・介護のコラム
「看取りのチカラ」第11話 コロナ禍での最期
タブレット端末でオンライン面会
コロナ禍で昨年の春から、病院では面会制限が続いています。私が勤める病院では、スマートフォン(スマホ)操作ができる患者さんには、ご自分で家族に電話をしていただいていますが、操作ができない患者さんには病院スタッフが手助けしてオンライン面会をできるようにしています。
ご家族に病院内の専用の部屋に来ていただき、病院のタブレット端末を使い、テレビ電話をつなげます。患者さんは病室で、職員が操作を手伝います。いつでもできるわけではなく、オンライン面会には予約が必要です。平日のうち週2日、1枠15分(6枠/日)という制限があります。
残された時間が数日と思われるような状態になり、患者さんが個室に移動した場合は、ご家族に短時間の面会が許されています。個室が空いていれば、病状によって数分だけ移動して会ってもらうこともあります。今後の状況によっては変わってくると思います。病院によっても対応はまちまちです。
会えない期間が長くなってきて、入院している患者さんのご家族も、さまざまな対応を考えてくださっています。手紙や寄せ書きを持ってきてくださるご家族もいます。読めない患者さんには、私たちスタッフが読んでお伝えしています。
家族の写真を持ってきてくださるご家族もいます。患者さんの中には、家族と会えない時間が長く、写真に写っている人が誰だかよくわからないということもあるのですが、写真が私たちスタッフと患者さんの会話のネタやきっかけにもなります。
家族に会えず、ふさぎこんでいた90歳代の患者さんが、70歳代の息子さんの写真を見て「ずいぶん年を取ったね」と久しぶりに笑顔を見せてくれたときは、私も泣きそうになってしまいました。平時にはできていた、たくさんのことが、このコロナ禍でできなくなってしまいました。そんな中でもできることはあるはずです。
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