文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

医師が教える「女と男、髪と地肌の話」 田中洋平

医療・健康・介護のコラム

【最終回】理想的なヘアケアについて、もう一度確認しましょう

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ふけやかゆみに悩まされる場合は

 以前は、男女問わず、肩にふけが落ちている方を目にすることがよくありましたが、最近はヘアケアの情報も増えたためか、かなり減ってきた印象があります。それでも、やはり慢性的なふけやかゆみに悩まされている方もいます。どんなすてきな髪形で、洋服もファッショナブルに決めていても、肩に白いものが散っていれば台無しです。

 少し前、私のクリニックを受診された東京都在住の20代女性も、長い間、「ふけ」に悩まされており、その改善をしたいとのことでした。外来でお話をうかがっていると、仕事中にもよく地肌を爪を立ててかいてしまい、洗髪時にも爪を立てているとのことでした。

 確かに、地肌のところどころには赤みがあり、爪をによる刺激から炎症も起きていました。ふけ、かゆみに悩まされているから、それを解決しようとして、かえって悪循環に陥っているようなのです。

 洗髪の方法や回数にも、個人差がありますが、慢性的なふけに悩んでいる若い女性に、いきなり「シャンプーをやめてください」とは、なかなか言えません。しばらくの間は、かなりの「副作用」に悩まされるはずです。

 そこで、ふけやかゆみが気になるからといって、爪を立てたり、ごしごし洗ったりするのではなく、シャンプーやトリートメントに配合されている刺激成分を残さないように、ぬるま湯でしっかりすすぐことをアドバイスしました。さらに、刺激の少ないシャンプーやトリートメントに変え、毎日ではなくて、1日おきなどに洗髪の頻度を減らすことも提案しました。

 予想通り、この女性も最初の2か月間は、かゆみとふけ、においと皮脂に苦しんだとのことでしたが、3か月目ぐらいから、明らかにふけも減り、「髪の毛のつやときれいな地肌が復活した」と美容院で言われたと、とても喜んでいました。

 ふけやかゆみについては、薬剤などに頼る前に、洗髪方法で改善することも少なくないはずなのです。

 また、患者さんから、「ドライヤーによる熱のダメージは大丈夫ですか?」と質問されることも少なくありません。一昔前の乾かすための熱風を出すだけとは違って、髪に対するダメージを軽減する製品も増えたと思います。

 「マイナスイオンを放出する」とうたったものも市販されていますが、これについて、まだ科学的な効果は十分に証明されていません。これからの研究調査で明らかになっていくはずです。

 ただ、人間の体に熱風が良い効果を与えることはありません。どんなドライヤーを使うにしても、髪の毛に近づけすぎて、熱による損傷が生じないように、適度な温風でやさしく乾かすのがいいかと思います。

髪の本当の役割について

 これも、以前、書いたことの繰り返しになりますが、大切な頭部、つまり脳を機械的刺激、太陽光、寒冷から守る防御機構として、髪はとても大切な役割を果たしています。

 その髪を育てているのが地肌です。緊張が強くて、血管が収縮している時間が長いと、地肌がやせて、髪が細くなったり、減ってしまったりします。

 医師として、もっと気を付けていただきたいことは、日々のストレス、緊張による交感神経過緊張状態、それに加えて血流低下による地肌が薄くなってしまうことによる毛根へのダメージ、さらに私の専門領域である「太陽光の近赤外線の 曝露(ばくろ) 」からくる皮膚へのダメージです。

 髪はどうしても「見た目」ばかりに関心が行き過ぎて、本来の役割について軽視されてしまいます。すべての部位は、大切な命を守るために存在していると考えれば、普段は見過ごしがちなことが、これからも新たに発見されていくはずです。

 2021年、世界は大変な危機に見舞われています。
 だからこそ、忘れがちになっている体の組織のありがたさ、命の大切さを再確認し、周りの人たちのことを気遣いながら、幸せな日々を過ごしていただきたいと願っています。

 また、お目にかかれる日まで。(田中洋平 形成外科医)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

tanaka-youhei_prof

田中 洋平(たなか・ようへい)

 クリニカタナカ 形成外科・アンティエイジングセンター(長野・松本市)院長 新潟薬科大学客員教授、東京女子医科大学非常勤講師。1975年生まれ。

医師が教える「女と男、髪と地肌の話」 田中洋平の一覧を見る

1件 のコメント

コメントを書く

美容医療と保険診療の共通の土台について

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

お疲れ様でした。 AGAの仕事も細々と続けさせてもらっていますが、ベースの生活習慣や意識との兼ね合いもあって、難しい患者さんもおられます。 本文...

お疲れ様でした。
AGAの仕事も細々と続けさせてもらっていますが、ベースの生活習慣や意識との兼ね合いもあって、難しい患者さんもおられます。
本文にもあるように、人間本来の活力と現代社会の利便性や価値観とすり合わせながら、どこまで科学的手段で介入可能か、あるいは介入しても良いのか、答えもありませんし、皆が皆、正解のような生活や理解をできるわけでもありませんから、最終的には宗教戦争のような気もしてきます。
コンビニ感覚のAGAクリニックの広告や関連記事も見ますが、そういう手軽さや続けやすさはもちろん重要ではあるものの、あまりに安易な理解に基づいた治療開始は、中長期的に難しい状況を招きかねないと危惧しています。
循環器疾患や精神科疾患などの薬物との併用が慎重になるわけですが、そういう部分に関して、患者やスタッフの理解が甘ければ、いずれは事故も起こることでしょう。
そのへんは、保険診療の領域となにも変わらないのではないかと思います。
髪の毛というパーツは頭部の頭皮の延長でありますが、一方で体全体や生活全体の一部ですから。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事