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「教えて!ドクター」の健康子育て塾

医療・健康・介護のコラム

子どもが頭をぶつけた!……病院へ行くか様子を見るか、判断のポイントは?

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意識が飛ぶ脳しんとう、普段と様子が違う、けいれんがある場合は受診を

 突然頭をぶつけたり、揺れたりすることで記憶が短時間飛ぶ意識障害を起こすことがあります。これを脳しんとうと言います。嘔吐や頭痛を伴うこともあります。脳しんとうも結果的に問題のないことは多いですが、意識の状態は、頭部打撲で私たちが患者さんを診る時に一番注意して確認するポイントです。意識の状態が悪い、けいれんを伴うなどの場合には急いで救急車を呼ぶ必要があります。普段と様子が違うと保護者が感じた場合にも、受診をお勧めします。

頭をぶつけたら、24時間は慎重に様子を観察

子どもが頭をぶつけた場合のホームケアは次の通りです。

【1】転んだりして頭をぶつけた場合には、まず傷ができていないかを確認してください。

【2】出血があれば傷口を清潔なタオルなどで押さえて止血します。傷がなければ患部を冷やしましょう。

【3】ぶつけた後は長時間の外出を避け、自宅でゆっくり過ごしてください。

 直後には症状が出ないこともあるため、24時間は子どもの様子が変わりないかを注意して観察する必要があります。眠っているのかが分からなければ、起こして意識を確認してみましょう。以上より受診の目安について、以下の表にまとめました。

頭をぶつけた際の受診の目安

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頭部打撲は予防できるか?

 転倒そのものの予防は難しいです。また、「目を離さないように」という指導がされがちですが、子育ては24時間365日。一瞬も子どもから目を離さないなんて無理です。少し目を離してしまっても、また転んでも大きな事故につながらない工夫はできます。ベビーベッドの柵は必ず上げておく、ハイハイ歩きを始めたら家具に保護カバーをつけ、階段にはガードをつけるなど、成長発達に応じた環境調整をしていきましょう。

おむつ交換台やベビーカーの荷物にも注意を!

 また意外に起こりやすい事例を知ることも有用です。たとえば商業施設のおむつ交換台です。保護者がバッグから物を取り出そうとしたり、手洗いをしようとしたりしたタイミングで乳児が転落し、頭をぶつけるケースが複数報告されています。これは、 国民生活センターから注意 がなされているほどです(6)。同様にベビーカーの転倒による事故も少なくありません。こちらも国民生活センターから、 ベビーカーの転倒による事故の注意 が出されています(7)。この報告によると、ベビーカーの背部の荷提げフックの荷物の重さでベビーカーがバランスを崩したケースがもっとも多かったようです。ひやりとする状況ですが思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回は、「頭部打撲」を中心にお話ししました。頭をぶつけると心配なことも多いかと思います。受診の目安やホームケアが冷静に対応するお役に立てられればと願っています。(坂本昌彦 小児科医)

(参考文献)

(1)Pediatr Emerg Care. 2001 Apr;17(2):88-92.(PMID: 11334100)

(2)Acad Emerg Med. 2016 May;23(5):576-83.(PMID: 26947778)

(3)Pediatrics. 2015 Mar;135(3):504-12.(PMID: 25647678)

(4)藤井佳美.軽微な頭部打撲、嘔吐したらCTは必要か.小児外科47;1009-1012,2015

(5)Ann Emerg Med. 2014;63(6):657-65.(PMID:24559605)

(6)国民生活センター:おむつ交換台からの子どもの転落に注意!.2020年3月19日公表

(7)国民生活センター:ベビーカーの転倒による乳幼児の事故に注意!.2019年12月12日公表

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)

 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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