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心臓弁膜症 重症の心不全につながる危険も…動悸、息切れ放置せず受診を

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 心臓の弁がうまく開閉しなくなる病気を心臓弁膜症といいます。75歳以上の1割余りが患うとされています。知らぬ間に重症の心不全に発展するケースも多く、治療の時機を逃さないことが重要です。(山崎光祥)

心臓弁膜症 治療の選択肢広がる…動悸、息切れ放置せず

  定期的に検査を

 心臓には左心房、左心室、右心房、右心室という部屋があります。左右の心房と心室の出口には、扉のような「弁膜」が付いています。本来は光が透けるほど薄いのですが、加齢や動脈硬化によって骨のようなものがこびりついて「石灰化」したり、分厚くなったりすることがあります。

 これが弁膜症です。弁がうまく開かず血流が滞る「 狭窄きょうさく 症」と、逆にピタッと閉じずに隙間から血液が逆流する「閉鎖不全症」に分かれます。肺から戻った血液を左心室に通す「僧帽弁」と、左心室から全身に送り出す出口にある「大動脈弁」によく起こります。

 弁膜症は、重症化して初めて症状が表れます。典型的なのは、心不全になって起こる息切れと 動悸どうき です。大動脈弁狭窄症では、締め付けられるような胸痛や失神を伴うことがあります。全身に血液を送り出す際により大きな力が必要になり、心臓に負担がかかるためです。

 症状が息切れや動悸の場合は、老化現象と捉えてしまう人もいます。ゆっくり進行するため、症状の出始めは動かなければ何も感じません。患者はしんどくならないよう無意識に行動を自制したり、外出を控えたりしてしまいがちです。これが病気の発見を難しくしています。

 ただ、心不全は一気に重症化することがあります。治療が遅れれば、心不全をコントロールできず、命にかかわることもあります。症状がなくても定期的に検査を受けることが大切です。息切れや動悸を感じたら、かかりつけ医に相談するか、総合病院の循環器内科を受診しましょう。

 治療には、弁の一部を生かして形を整え、弁の機能を改善させる「弁形成術」と、人工弁を入れる「弁置換術(留置術)」があります。いずれも開胸手術が基本です。最近は、特殊な器具や手術支援ロボット「ダビンチ」を使って切開を小さくし、体への負担を減らす手術法が広がってきました。

  カテーテル治療も

 一方、胸を開かず、カテーテル(細い管)を使って行う治療法もあります。カテーテルは、脚の付け根などに小さな切れ目を入れて挿入するため、傷口を小さくできるのが利点です。

 僧帽弁閉鎖不全症には、カテーテルに取り付けたクリップのような器具で弁の先端をつなぎ、逆流を防ぐ「マイトラクリップ」という弁形成術があります。また、大動脈弁狭窄症を対象に、「タビ」という留置術も実施されています。折りたたんだ人工弁をカテーテルを使って心臓内に送り込み、風船で広げて大動脈弁の位置に固定します。

 国立循環器病研究センター心臓血管内科部長の泉知里さんは「以前は開胸手術しかなく、高齢や腎臓の持病などを理由に、多くの患者が治療を諦めていました。最近は治療法の幅が広がっています。全ての選択肢について十分な説明を聞き、自分にとって最善の方法を慎重に選んでください」と話しています。

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