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今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」

医療・健康・介護のコラム

家庭内感染予防に鼻うがいを

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新型コロナの家庭内感染予防に鼻うがいを 自分と家族を守るために

 新型コロナによる医療崩壊が危ぶまれ、医療従事者の離職報道も度々目にします。私も日々の外来診療で感染対策に取り組んでいますが、自分が感染しないようにすることはもちろん、家族にうつさないために帰宅後は鼻うがいをしています。これまでも上流医療の一つとして、自分で身を守るために鼻うがいをずっと推奨してきましたが、これが、いま増えてきている家庭内感染を防ぐ手段としても期待できます。

 新型コロナ感染症では、夜の街やカラオケボックスなど三密の場所でクラスターが発生していましたが、最近の傾向としては、感染経路が分からなかったり、家庭内感染が増えたりしています。家族間で風邪をうつし合った経験は多くの人が持っているでしょう。

 「自分は外出をしないから大丈夫」ではなく、「もしかしたら誰かが持ち込むかもしれない」という感覚を持ち、うつされないように気をつけることはもちろんですが、自分が感染者となったときに他人に感染させるリスクを減らすことも考えておかねばなりません。

 家庭内感染を防ぐためには一般的に、こまめな換気、手洗い、食事や寝室、洗濯物を分ける、といったことが言われています。ただ、寒さも厳しくなると換気もままなりませんし、換気による暖房費の高騰も頭を悩ますところです。

医療従事者こそ「鼻うがい」「鼻呼吸」を

 インターネット経由で自治体サイトや各種医療機関の情報を見ても、家庭内の対策としていろいろと手段が記載されていて私も参考にさせてもらっていますが、不思議と「鼻うがい」や「鼻呼吸」はまったくといっていいほど挙げられていません。もっと多くの方、とくに医療従事者に、鼻うがいは自分の身を守り、感染者の家庭内感染を減らせる可能性があるという事実を知っていただきたいと思います。

 以前のコラムで、鼻うがいは新型コロナの治療として検討しても良いかもしれないと紹介しました( 2020年6月29日のコラム )。

 これに先だった68人を対象とした研究では、鼻うがい群(高張食塩水)は「しない群」と比べて、従来のコロナウイルス感染を含む一般的な風邪の期間は22%短縮され、市販薬の使用は36%の減少、そして家庭内感染は35%減少(相対的なリスクは半減)したという結果になりました。新型コロナウイルスに感染した人も積極的に鼻うがいをすれば、治療薬がなかったとしても感染を減らすことが期待できそうです。家庭内感染が広がっている現状では、鼻うがいで、その広がりを抑えることも有力な感染予防手段と言ってよいでしょう。

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今井 一彰(いまい・かずあき)

 みらいクリニック院長、相田歯科耳鼻科内科統括医長

 1995年、山口大学医学部卒、同大学救急医学講座入局。福岡徳洲会病院麻酔科、飯塚病院漢方診療科医長、山口大学総合診療部助手などを経て2006年、博多駅近くに「みらいクリニック」開業。日本東洋医学会認定漢方専門医 、認定NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長、日本加圧医療学会理事、息育指導士、日本靴医学会会員。

 健康雑誌や女性誌などに寄稿多数。全国紙、地方紙でも取り組みが紹介される。「ジョブチューン」(TBS系)、「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ニュースウオッチ9」(NHK)、「おはよう日本」(同)などテレビやラジオの出演多数。一般から専門家向けまで幅広く講演活動を行い、難しいことを分かりやすく伝える手法は定評がある。

 近著に「足腰が20歳若返る足指のばし」(かんき出版)、「はないきおばけとくちいきおばけ」(PHP研究所)、「ゆびのば姿勢学」(少年写真新聞社)、「なるほど呼吸学」(同)。そのほか、「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(マキノ出版)、「鼻呼吸なら薬はいらない」(新潮社)、「加圧トレーニングの理論と実践」(講談社)、「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」(コスモの本)など多数。

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