今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
ベビーシャンプー入りの鼻うがい!? 界面活性作用でコロナ対策の可能性
鼻の中のコロナを撃退する意外な方法
地域を限るといっても、再び緊急事態宣言が発出され、不安な生活を送っている人も多いことでしょう。新型コロナにはいまだ特効薬も開発されず、ワクチンも行き渡るまでに時間がかかる現状ですが、これまでにも書いたように、鼻うがいが救世主になるかもしれません。口の中ならポビドンヨードなどの消毒薬でも気軽にうがいできますが、鼻の中に消毒液を入れるのはかなりの刺激で無理です。それでも何とかして、鼻も界面活性剤で洗えると、より効率よくウイルスの不活化ができそうです。それをかなえてくれるのが、ベビーシャンプー入りの鼻うがい(略してBSNI)なのです。
私も最初、この論文を読んだときは、にわかに信じられませんでしたが、鼻うがい溶液に少量のベビーシャンプーを加えて洗浄するという方法があるのです。カテキンが入っているお茶を飲むのも良いかもしれませんが、それではウイルスが増殖する鼻の奥の方までは洗えません。それを解消するのがBSNIなのです。
1%濃度のベビーシャンプー入り溶液でコロナ死滅
先行研究より、1%濃度のBSNIは、 鼻腔 内で細菌が作るバイオフィルム形成を阻害することが分かっていました。また対象人数は少ないですが、新型コロナウイルス感染症患者がエッセンシャルオイルなどで鼻うがいをして重症化を防いだ、という研究がマレーシアのグループから発表されています。
今回の研究では、コロナウイルスを感染させたヒトの細胞をBSNI溶液に1分間浸すと、シャンプーの界面活性作用によってコロナウィルスは99.9%死滅しました。まさに、せっけんを使った手洗いと同じように、鼻洗いでもウイルスを不活化することが期待されます。もともと鼻うがいでは、上気道炎症状を2日程度短縮できたり、家庭内感染を35%低下したりすることが分かっていますから、BSNIでは鼻腔内に存在するかもしれないコロナウイルスを撃退できるとなると、「他人に感染させない」ことができるかもしれません。実際に私もBSNIをやっていますが、普通の鼻うがいと比べても違和感なく行えます。
表には、痛くないBSNIのやり方を書きました。シャンプーが鼻腔に残るのが嫌な人は、1分ほど後に普通の鼻うがい(私は「追い鼻うがい」と呼んでいます)をすると良いでしょう。
「家庭内感染を防ぐために室内でもマスクを」と言われていますが、それこそ24時間のマスク生活により、表情筋や 咀嚼 、 嚥下 筋の衰え、口呼吸の増加が懸念されます。マスクによる弊害も考え合わせるなら、鼻うがいで1日1回はキレイに鼻のケアをするべし、感染者本人や濃厚接触者はBSNIを試すべし、と思いますが、いかがでしょうか。(今井一彰 みらいクリニック院長・内科医)
参考文献
・Lowering the transmission and spread of human coronavirus(J Med Virology. 2020;1-8)
・Early viral clearance among COVID-19 patients when gargling with povidone-iodine and essential oils: a pilot clinical trial( Nuru Azmawati Mohamed らによる)
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