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大人の健康を考える「大人び」

医療・健康・介護のコラム

脚の痛み(10)ふくらはぎや膝が痛い、しびれる…患部は腰の可能性も

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  このシリーズでは、関節外科が専門で関西労災病院(兵庫県尼崎市)副院長の津田隆之さんに聞きます。(聞き手・長尾尚実)

脚の痛み(10)患部は腰の可能性も

 ふくらはぎや膝などが痛い、しびれる――。こうした症状を訴えて受診する患者さんが少なからずおられます。股関節や膝関節を診ても、動きは悪くなく、腫れてもいない。そんな時に「もしかしたら」と疑うのが、腰の骨(腰椎)の変形やずれなどによって、神経が圧迫されて起きる痛みです。

 脚にある神経は腰椎付近で束になり、背骨を貫く脊柱管を通って脳につながります。加齢に伴って腰椎が変形したり、ずれたりして脊柱管を狭めると、神経を圧迫します。その結果、脚の痛みやしびれとして感じます。「脊柱管 狭窄きょうさく 症」と呼ばれる病気です。

 40歳以上で腰部の脊柱管狭窄症の推定患者は国内で240万人に上り、40歳以上の3・3%とする研究結果があります。ふくらはぎが痛くなる傾向がありますが、膝が痛いと感じる人もいます。

 「腰椎椎間板ヘルニア」が原因の可能性もあります。腰椎の骨と骨の間でクッションの役目をする椎間板が飛び出す病気で、脊柱管の神経を圧迫して膝や足の裏に鋭い痛みが出る場合があります。

 どちらの病気も患部は腰ですが、脚に痛みが出るのです。最初は安静にするか、痛み止めの薬を処方しますが、痛みが強い場合はブロック注射を行います。歩けないほどの痛みで生活に支障が出れば、狭まった脊柱管を広げたり、椎間板の飛び出した部分を切除したりする手術を検討します。

 年齢を経ると腰椎の変形に加えて、股関節や膝関節の変形も同時に進むので、さらに注意が必要です。元々、股関節の悪い人は腰椎の変形も大きくなりがちです。痛みを抑えるために、どの部位を治療するのが適切なのか正しく見極めるのが重要になってきます。

津田隆之さん

【略歴】
 津田 隆之(つだ・たかゆき)
 三重県多気町出身。1982年、大阪大医学部卒、90年、同大学院修了。星ヶ丘厚生年金病院(現・JCHO星ヶ丘医療センター)整形外科部長、箕面市立病院医務局次長などを経て、2017年4月から現職。専門は関節外科、骨粗しょう症の疫学。市民向け講演会などで、脚の痛みを起こす病気や治療法、転倒予防について解説している。

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