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体への負担を軽減し、元気に坂道、山道を走るためのトレーニング法とは
お正月恒例の箱根駅伝は駒沢大学の総合優勝で幕を閉じました。創価大学の躍進も記憶に残るものとなりました。箱根駅伝は、山を登る第5区、山を下る第6区といった高低差の大きな坂道を走る点も見どころです。
今回は山野を駆けるトレイルランニングのケースです。
Hさんは、中学・高校時代は陸上競技の長距離走の選手でした。社会人になっても趣味でランニングを続けています。登山などのアウトドアも好きです。トレイルランニングを行っている友人に誘われ、4か月後の大会に向けてトレーニングを開始することにしました。
負担が大きい坂道
通常のランニングでも、走る距離と身体コンディションのバランスが崩れると、膝や足を故障することがあります。坂道のランニングでは、下半身への負担が大きいことは想像できますが、トレイルランニングの場合、箱根駅伝などで使用される、舗装コースとは異なり、整備が行き届いていない道を走るため、足首をくじいたり、転倒したりする可能性があります。走ったあと、脚部だけでなく、腰や股関節など、体のあちこちに支障をきたす可能性があるので、十分なトレーニングを行って臨む必要があります。
上り坂では、股関節を十分上げて走る必要があります。この場合、股関節を曲げる 腸腰筋 の働きが重要です。また、腸腰筋は腰椎から始まる筋肉です。坂道を安定して走るには、腰椎もしっかり安定させてことが大切です。
一方、下り坂ではスピードを出し過ぎないようコントロールしようとして、後傾姿勢になりがちです。この場合、もも前面の 大腿 四頭筋に過剰な負担が加わります。また、走っている時に地面から受ける反力は、静かに立っている時の4~6倍かかります。下り坂でスピードが速くなると、この反力はさらに大きくなるため、足だけでなく、膝関節の軟骨や半月板に大きな負荷を強いることになります。
上りでも下りでも、坂道で重要なことは、下肢だけでなく、体幹をしっかりと安定させ、バランスよく走る必要があるということです。バランスや体幹を鍛えるトレーニングメニューの例を挙げておきます。
あらゆる運動動作の基本はスクワットです。まずは両脚でスクワットの姿勢を取り、膝は内側に入らず、背中が丸くならないようにします。同様に、片脚でのスクワットでも、ももを上げた状態での安定感が大切です。足を前後に踏み出した姿勢で、股関節や膝関節の曲げ伸ばしを行うエクササイズの「ランジ」でも、安定感の維持が大切です。また足場が悪い山道を走るので、不安定なバランスボードを使用したエクササイズも有効です。
体幹の強化では、左右でバランス差が生じないようトレーニングすることも重要です。下り坂のランニングでは大腿四頭筋にかなりの負担がかかるので、練習前後の十分なストレッチは欠かさないようにしましょう。
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