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コロナ禍でED患者が増加 トルコの多施設研究

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、外来診療に大きな影響をもたらした。感染リスクを減らすために多くの施設で定期受診が延期されたり、対面診療の代わりにオンライン診療が導入されたりした。また、患者の受診控えも広がった。これらのことは泌尿器科も例外ではない。トルコ・Samsun Training and Research Hospital泌尿器科のMesut B.Duran氏らは、COVID-19の流行で泌尿器専門外来クリニックを訪れた男性患者にどのような変化が見られたかを後ろ向きに調査。COVID-19流行前に比べ、パンデミック期に勃起障害(ED)患者の有意な増加が見られたことをSex Med( 2020年12月7日オンライン版 )に報告した。

COVID-19流行前後で比較

コロナ禍でED患者が増加 トルコの多施設研究

※画像はイメージです

 研究にはトルコ全土の泌尿器専門外来クリニック12施設が参加した。同国では初の新型コロナウイルス感染例が確認された2020年3月11日以降、65歳以上の高齢者や20歳未満の若年者、慢性疾患患者に対し夜間外出禁止令を発出。外来診療は限定的ながら継続され、6月1日から徐々に正常化された。

 こうした背景からDuran氏らは、2月1日~3月11日をCOVID-19流行前期、3月12日~6月1日をパンデミック期と定義。両期間に泌尿器専門外来クリニックを訪れた18歳以上の男性患者の特徴について比較検討した。なお、外来受診は対面診療のみを対象とし、電話相談やオンライン受診は除外した。

 同研究では、男性疾患を生殖機能障害(精索静脈瘤、不妊症、性腺機能低下症、無射精症、精液瘤、停留精巣)と性機能障害(ED、早漏、ペロニー病、持続勃起症)に分けて評価した。

ED患者は6.6%→8.7%に増加

 その結果、全期間(2月1日~6月1日)の受診者数は4,955例で、期間別に見るとCOVID-19流行前期が3,231例、パンデミック期が1,724例だった。平均年齢は流行前期に比べパンデミック期で有意に低かった(55.3歳 vs.50.6歳、P<0.001)。

 男性疾患と診断された患者は4,955例中721例だった。受診者全体に占める割合は、COVID-19流行前期の428例(13.2%)に比べパンデミック期では293例(17.0%)と、有意に多かった(P=0.013)。

 同様に、生殖機能障害(COVID-19流行前期4.6% vs.パンデミック期6.2%、P=0.016)、性機能障害(同8.6% vs.10.8%、P=0.013)と診断された割合も、パンデミック期に有意な増加が見られた。EDについても、6.6%から8.7%へと有意に増加していた(P=0.008)。

外出禁止令が影響?

 以上から、Duran氏らは「COVID-19パンデミック期には生殖機能障害と性機能障害、特にEDのために泌尿器専門外来クリニックを訪れた男性患者が増加していた」と結論した。

 同氏らは、パンデミック期にED患者の増加が見られた要因として、心因性因子の影響を指摘している。外出禁止令により限られた空間でパートナーと四六時中過ごす中、いさかいが増えて関係性が悪化。その結果、もともと勃起に問題を抱えていた男性がパートナーに対し気まずさを感じたことが、受診を後押しした可能性も考えられるという。(長谷部弥生)

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