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ビタミンDで進行がん発症リスクが低下

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 近年、ビタミンD摂取とがんの関連性についての検討が幾つか報告されているが、一般人を対象とした大規模な検討はあまりない。米・Harvard Medical SchoolのPaulette D.Chandler氏らは、米国の一般人2万5,871人を対象に高用量のビタミンD3、ω-3脂肪酸摂取による全てのタイプの浸潤性がん、および主要心血管疾患の予防効果を検証した大規模ランダム化比較試験VITALの二次解析結果を JAMA Netw Open(2020;3:e2025850) に報告。ビタミンD摂取により進行性がんの発症リスクが低下する可能性を示した。

主解析ではビタミンD3とω-3脂肪酸に有意差なし

ビタミンDで進行がん発症リスクが低下

※画像はイメージです

 VITAL試験では、がん(非メラノーマ皮膚がんを除く)や心血管疾患の既往がない米国の一般集団2万8,571人を登録(男性50歳以上、女性55歳以上)。ビタミンD3(コレカルシフェロール、2,000IU/日)を摂取するビタミンD群(1万2,927人)とプラセボ群(1万2,944人)に1:1でランダムに割り付けた。さらに各群を魚油由来のω-3脂肪酸またはそのプラセボを摂取する群に1:1でランダムに割り付ける2×2ファクトリアルデザインを用い、最終的に<1>ビタミンD+ω-3脂肪酸集団(6,463人)<2>ビタミンD+プラセボ集団(6,464人)<3>プラセボ+ω-3脂肪酸集団(6,470人)<4>プラセボ+プラセボ集団(6,474人)-の4集団に割り付けた。

 なお、登録は2011年11月~14年3月に行い、試験レジメン以外のビタミンD摂取(マルチビタミン剤を含む)は800IU/日を上限として許可したが、魚油由来のサプリメントの摂取は禁止した。

 主解析では、主要評価項目を全てのタイプの浸潤性がん、および主要心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死の複合)の発生率とし、中央値5.3年の追跡期間におけるビタミンD摂取( N Engl J Med 2019;380:33-44 )とω-3脂肪酸摂取( N Engl J Med 2019;380:23-32 )の有無別に比較した結果、いずれも有意差を認めなかったことを報告している。

BMI 25以上の集団では有意差なし

 今回の検討では、同試験の二次解析としてビタミンDまたはω-3脂肪酸の摂取およびBMIが進行性がん発症に及ぼす影響を検証した。

 ビタミンD群とプラセボ群のベースライン時における主な患者背景は同等で、ともに女性51%、平均年齢67.1歳、非ヒスパニック系白人71%、黒人20%、非黒人系ヒスパニック4%、BMI 25未満/25~30未満/30以上が31%/40%/29%、喫煙者7%、800IU/日以下のビタミンD服用歴43%。マンモグラフィや乳がんバイオプシーなどのがんスクリーニング受診歴、25-ヒドロキシビタミンD、飲酒状況、糖尿病の既往などについても、両群で同様だった。

 前述の主解析では、2万5,871人中1.617人が浸潤性がんを発症し、プラセボ群に対するビタミンD群の浸潤性がん発症リスク〔ハザード比(HR)0.96、95%CI 0.88~1.06、P=0.47〕、がんによる死亡リスク(同0.83、0.67~1.02、P=0.08)に有意差はなかった。

 そこで、同氏らが17種のがん種ごとに発症リスクを比較したところ、子宮がんでのみ有意差を認めた(ビタミンD群0.3% vs.プラセボ群0.2%、HR 1.75、95%CI 1.01~3.03、P=0.046)。さらに、進行性がん(転移性または致死性)の発症率を比較すると、プラセボ群の2.1%に対しビタミンD群では1.7%と有意にリスクが低下し、2年目以降に差が開いていた(同0.83、0.69~0.99、P=0.04、 )。

図.ビタミンD摂取の有無別に見た進行がんの発症率

ビタミンDで進行がん発症リスクが低下

(JAMA Netw Open 2020; 3: e2025850)

 進行性がんによる死亡はビタミンD群が16人/1万2,927人、プラセボ群が24人/1万2,944人であった。

 ω-3脂肪酸投与の有無別に見た解析では、進行性がんの発症率にω-3脂肪酸群とプラセボ群で有意差およびω-3脂肪酸摂取による交互作用はなかった。さらに、ベースライン時のBMIごとにビタミンD摂取による進行性がんの発症リスクを比較したところ、BMI 25未満の非肥満集団ではプラセボ群と比べてビタミンD摂取群で有意にリスクが低下したしたものの(HR 0.62、95%CI 0.45~0.86)、過体重や肥満に分類されるBMI 25~30未満(同0.89、0.68~1.17)や、BMI 30以上(同1.05、0.74~1.49)の集団では有意差はなかった。

 今回の結果を踏まえ、Chandler氏は「最も発症が多かった前立腺がんを除外した解析でも、進行性がんの発症リスクはプラセボ群と比べてビタミンD群で低かった。この傾向は、BMIが正常の集団において最も顕著であった」とし、「たとえ、がん発症抑制に及ぼすビタミンD摂取の影響がさほど大きくなくても、VITAL試験におけるビタミンD摂取は多くの既存のがん治療法よりも毒性が低く、低コストである」と指摘した。(編集部)

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