田村専門委員の「まるごと医療」
医療・健康・介護のコラム
「プレコン」ってなあに? 若い男女の未来を幸せにする合言葉に

国立成育医療研究センターなどが主催する「プレコンセプションケア 日米合同カンファレンス」が2020年12月、東京都内の会場とオンラインを併用して開かれた。同センターに国内初の「プレコンセプションケアセンター」が15年11月に開設されて約5年。具体的にどんなことをしているのだろう。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター母性内科診療部長の荒田尚子さんに聞きました。(聞き手・田村良彦)
「妊娠直前」だけが対象ではなく カップルでも
――そもそも、プレコンセプションケア(略称プレコン)って何ですか。
コンセプション(Conception)は英語で「受胎」の意味です。直訳すると「妊娠前管理」ですが、決して今すぐ妊娠を計画している女性だけが対象ではありません。
プレコンの目的は、若い世代の男女の健康を増進させ、より質の高い生活を送ること。そして、若い世代の男女がより健康になることで、より健全な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちの健康につなげることです。
――男性も含むのですか。
はい。女性だけでなく、カップルもプレコンの対象です。
痩せすぎや肥満、出産年齢の高齢化、性に関する知識不足
――日米合同カンファレンスでは米国の先進的な取り組みが紹介されましたが、米国で始まったのですか。
考え方自体は昔からファミリードクターなどにあったのですが、周産期医療の向上を図る米国が06年に、保健対策としての取り組みを打ち出しました。世界保健機関(WHO)も13年に勧告を出しています。
――日本は、妊産婦の死亡や新生児死亡率の低さで世界の最高水準にありますが、さらにプレコンが必要とされる理由は何ですか。
国によって抱えている問題は違います。日本は日本ならではの課題が山積みです。
――例えば、どんな?
若い女性の痩せすぎや肥満、晩婚化に伴う出産年齢の高齢化、検診に行かないこと、避妊法を含む性と生殖に関する知識不足、喫煙や飲酒など、様々な問題があります。
よく話題になる痩せすぎも、20歳代の女性のBMI(体格指数)が18.5未満の割合は20%くらいで、ここ10年でみればやや減っています。ところが一方で、肥満の割合が20歳代では少し増えていて、決してちょうどいい人が増えているわけではないんです。
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