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「教えて!ドクター」の健康子育て塾

医療・健康・介護のコラム

発熱は感染と闘う体の反応、元気な様子なら早急な受診は不要……ただし、生後3か月未満は受診を

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意識の低下やぐったりしている、おう吐には注意

 脳に炎症が及ぶいわゆる脳炎や脳症は重い病気で、子どもではインフルエンザ等の合併症として起こることもあります。ただ、これは熱そのものが悪さをしているわけではなく、ウイルスや細菌などの病原体のせいで起きています。だから早く熱を下げないと脳炎や脳症になる、というわけではありません。脳炎や脳症の症状は、意識状態が悪いとか、ぐったりして何度も吐くなどです。そこで発熱時に急いで受診が必要かの目安、つまり重症かどうかの判断は熱の高さではなく、意識状態が悪いとか、ぐったりして何度も吐く、等で判断します。コロナ禍の今年、病院にはなるべくかかりたくないな、と受診を控える傾向が指摘されていますが、これらの症状がある場合には速やかな受診が必要です。

 一般的には、発熱があっても元気ならすぐに病院を受診する必要はなく、3~4日経過しても解熱しない場合に受診をお勧めしています。ただし、例外があります。それは生後3か月未満の赤ちゃんです。この点については最後に詳しく説明します。

熱性けいれんの多くは5分以内に治まる

  次に「けいれんするかもしれない」という不安についてです。熱が上がると、熱性けいれん(いわゆる、ひきつけ)が起きることがあります(生後6か月から5歳に起きやすいです)。早く熱を下げれば熱性けいれんを予防できるのではないか、と思うのは自然な感覚だと思います。残念ながら現時点では、熱が出たときに早めに解熱剤を使っても、けいれんを予防できないことが多くの研究で分かっています(6)。逆に言えば、「熱を下げないと、けいれんが起きてしまう」と焦って心配する必要もないということですね。なお、熱性けいれんの多くは5分以内の短時間で治まるもので、こういった短時間のけいれんが脳に障害を引き起こすことはないのでご安心ください。

解熱剤は発熱の不快感を和らげるのが目的

  では、発熱のお子さんへの対処方法はどうすればよいでしょうか。熱を下げる手段として解熱剤があります。解熱の利点には ①不快感を和らげること ②発熱に伴う脱水を防ぐことが挙げられます。「眠っているけど熱がある場合に解熱剤を使っていいのか」はよく聞かれる質問です。これについては米国小児科学会の小児科医151名に対して行ったアンケート調査で、87%にあたる131名が「解熱剤を使うために起こす必要はない」と回答しています(7)。①の不快感を和らげることこそが解熱剤の大きな役割であり、しっかり休ませることが大事だと多くの小児科医は考えていることが分かります。

 ちなみに解熱剤の種類についてですが、子どもの場合にはアセトアミノフェンという薬を使います。イブプロフェンを使うこともありますが、それ以外の薬は脳炎などのリスクがあるため使うことはできません。

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)

 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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