子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
皮膚のトラブル(7)保湿剤で乾燥対策しっかり
皮膚のトラブルでは、大阪医科大の森脇真一教授(59)に聞きます。(聞き手・東礼奈)
子どもの皮膚は薄くて皮脂が少ないため、湿度が下がる11月から3月にかけて乾燥しやすくなります。そのまま放っておくと、かゆみが生じて湿疹ができ、特にアトピー性皮膚炎では皮膚症状が悪化します。
乾燥皮膚やアトピー皮膚では、水いぼや単純ヘルペスなど、様々な感染症を合併するリスクも高まります。子どもを皮膚病から守るには、▽入浴時に体をゴシゴシこすらず優しく洗う▽せっけんは泡立てて使う▽入浴後すぐに保湿剤を塗る――といった乾燥肌対策が極めて重要です。
保湿剤には、白色ワセリンなど表面を覆って水分を逃がさないようにする「エモリエント」と、ヘパリン類似物質、尿素、セラミド、ビタミンAなど角層内で水分を保持する成分を含んだ「モイスチャライザー」の2種類があります。いずれも肌をこすらずに、優しく広げるように塗ります。モイスチャライザーには 軟膏 、クリーム、乳液、液状など様々なタイプがあるので、お子さんが嫌がらないタイプを選ぶといいでしょう。
アトピー性皮膚炎の子どもでは、皮膚が乾燥していないように見えても、顕微鏡のレベルでは乾燥状態ということがよくあります。どの保湿剤を1日何回使うか、いつまで続けるかなどについては、受診の際に必ず皮膚科、あるいは小児科の主治医に相談しましょう。
他に、▽子どもがかゆみを訴えない素材の衣服を着せる▽加湿器を使う▽ぬれタオルを部屋に干す▽エアコンを長時間使いすぎない――などの対策も有効です。寒い時期には、子どもの皮膚に潤いを与えるスキンケアを欠かさず、皮膚を取り巻く環境も見直しましょう。
【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。
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