佐藤純の「病は天気から」
医療・健康・介護のコラム
天気の予知ができる片頭痛患者、若い女性に多く…台風発生も感じる!?
「天気痛」は病名ではなく、「天気の影響を受けて生じたり、悪化したりする慢性の痛みがある」という状態を指します。したがって天気痛には、元になる何らかの病気や症状があります。慢性の痛みは、すべて天気痛になりうると考えていいのですが、私が診ている患者さんでは、片頭痛、緊張型頭痛、首こり、肩こりといった、肩から上の痛みが全体の72%を占めます。
また、女性が多いことも特徴ですが、その理由はまだはっきりしていません。考えられることは、「気圧のセンサーがある内耳が男性より敏感である」「自律神経が乱れやすく、ホルモンの影響で体調の変化が出やすい」などですが、女性は男性よりも、頭痛や首こり、肩こりを持っている人が多いことも原因の一つだと考えています。年齢層は10代から80代までと幅広く、平均は42歳です。慢性痛のため当科を受診する患者さんの平均が54.5歳なので、天気痛の患者さんは、比較的、若い傾向があります。天気痛が若者や働き盛りに多くみられることは、学業や就業に関しても重要な問題といえます。
「目の奥が痛い」と訴える人も
片頭痛は、天気痛のなかでも代表的な病気で、天気痛外来でも多くみられます。この病気は、脈打つようなズキン、ズキンという痛みや、頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。「目の奥が痛い」と表現される場合もあります。また、頭痛とともに、めまい感を伴うことも少なくありません。天気が崩れる前に症状が始まり、雨が降るころには頭痛のピークを迎えていることが多いようです。人によっては、天気が回復するときにも症状が表れます。
天気の影響を受ける頭痛の特徴は、「天気の予知」ができる人が多いことです。頭痛にならなくても、眠気、めまい感、 倦怠 感、吐き気、肩こりのような片頭痛の予兆や前兆とよばれる症状が表れることで、これから雨が降るのが分かるといいます。日本のはるか南の海上で熱帯低気圧や台風が発生したことを感じる患者さんもいます。どのようなメカニズムでこのような体調変化が起こるのか、正確なところは分かっていませんが、私は、前回のコラムで紹介した小さな気圧の変化「微気圧変動」を感じ取っているのではないかと考えています。
ある国内調査によると、天気の影響を受ける片頭痛を持っている人は、めまい症状を持っている場合が多いことが報告されていますので、内耳の敏感さが天気痛につながっている可能性があります。
1 / 2
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。