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研修医は患者からハラスメントを経験

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 米・University of California,San FranciscoのShalila S.de Bourmont氏らの研究結果から、ほとんどの研修医が患者から軽蔑や診療拒否などの偏見的態度を取られた経験があることが分かった。こうした被害は研修医が女性、有色人種、性的マイノリティーなどの場合に特に顕著で、例えば、女性研修医の87%がセクシャルハラスメントを経験していた。詳細は JAMA Netw Open(2020;3:e2021769) に掲載された。

偏見的態度の種類・頻度・対処を調査

研修医は患者からハラスメントを経験

※画像はイメージです

 研修医に対する患者の偏見は、研修医の健全な職務・生活に負の影響を与えるが、その実態に関するデータは不足しており、施設規模でトレーニング・対策を実施するための指針が必要とされている。

 de Bourmont氏らは、さまざまな偏見的態度の経験頻度を特定し、研修医らの対処法を評価する目的で、2019年8月21日~11月25日に米・カリフォルニアとノースカロライナ両州の大学病院3施設の2年目・3年目の内科研修医331人を対象として、電子メールによる後ろ向き調査を実施した。収集したデータの記述統計により偏見の種類と頻度、研修医による対応、対応を阻害する因子、対策に関する研修医の経験・考えについて検討した。

 偏見は<1>言語・非言語による軽蔑・屈辱的なステレオタイプ化(人種・民族的出自に関する詮索、社会的アイデンティティーの一般化、同人種・民族の他のスタッフとの混同など)<2>職務に対する疑い(資質に対する疑い、非医師との思い込み、自分より経験が浅い医師か学生への相談など)<3>露骨な悪口や診療拒否(医師交代の要求)<4>セクハラの4種に分類した。

「軽蔑的なことを言われた」と「医師でないと思われた」が最多

 331人のうち研究に参加したのは232人で、116人(50%)が女性、白人は247人中116人(47%) ※1 、LGBTQ ※2 は23人(10%)であった。参加者は全員、「経験あり」との回答なので、少なくとも研修医全体の70%が患者から偏見的態度を取られた経験があることになる。

 患者の偏見的態度として最も多かったのは、言葉による軽蔑(231人中32人:14%)と、非医師との思い込み(230人中38人:17%)であった。

 女性、黒人、ラテン系、アジア人の研修医は、偏見行動の経験頻度が高かった。黒人またはラテン系は38人中17人(45%)が露骨な悪口や診療拒否を経験していた (図-A) 。また、アジア人は70人全員が民族的な出自を詮索されたと回答した。女性研修医の大半(115人中110人:96%)が職務に対する疑いを、100人(87%)がセクハラを経験していた (図-B)

図.患者からハラスメントを受けた研修医の割合

研修医は患者からハラスメントを経験

(JAMA Netw Open 2020; 3: e2021769)

「関わっても無益」とほとんどの研修医が報告せず

 偏見行動への対処を有意に阻害している因子としては、「医療を優先する必要がある」(227人中76人:34%)と「対応しても無益」(227人中56人:25%)との回答が最も多かった。

 85%(226人中191人)が、患者から偏見的態度を取られたことを所属施設に一度も報告していなかった。一方で、89%(232人中206人)が、この問題に関するトレーニングと対策が「必要」または「とても必要」と回答した。

 de Bourmont氏らは「ハラスメント被害を受けている研修医を支援するために、研修プログラムと医療システムにおいて、患者の偏見的態度に対するトレーニングと対策を優先的に実施すべきである」と指摘している。

 米・Children’s Hospital at MontefioreのRhonda G.Acholonu氏らは同誌の付随論評( 2020;3:e2021770 )で「過小評価されているマイノリティ(unrepresented minorities;URM)および女性医師が受けている差別的経験と、そうした差別が大学病院における多様性・平等・包摂(inclusion) ※3 を阻害していることに対する認識は見過ごされてきた」と指摘。「持続的・計画的な行動により、医療現場における平等と包摂の達成を究極の目標として、女性とマイノリティにとっての職場環境についての理解と変革への道筋を集合的に前進させることができる」と述べている。(小路浩史)

※1 回答者232人に対して、人種構成の母集団が多いのは1人が1つ以上の人種/民族を選択してもよいとしたため。回答者数より母集団が少ない項目は、データ欠落による
※2 レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クイア。クイア(Queer)は、もとは同性愛者への侮蔑語だったが、現在は(LGBTのような個別の分類ができない、されたくない)性的マイノリティー全体の包括概念として肯定的に用いられる
※3 組織(社会)内の弱者を排除や摩擦・孤独・孤立から援護しつつ、構成員全員を組織の一員として取り込み、支援し合う考え方

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