教えて!ヨミドック
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臓器移植 ドナー増えてる?
若い人ほど提供前向き
Q 15歳未満の子どもも臓器移植のドナー(提供者)になれるようになって、今年で10年なんだって。
ヨミドック 改正臓器移植法が2010年に施行されました。生前に本人が意思表示の書面を残していなくても、家族の同意で脳死の人から臓器提供ができるというものです。それに伴って、子どもでも提供できるようになったわけですが、1例目の提供があったのは翌年のことでした。
Q そんなにかかったの? どうして?
ヨ 日本では、脳死を人の死とすることに抵抗感を持つ人が多くて、大人でも、脳死の臓器移植は何年も議論してようやく実施されるようになった経緯があります。まして子どもの場合、親が提供を決断するのは大変なことです。医療側にも、臓器提供のことを切り出しにくいとか、脳死判定などの体制が十分でないといった事情があります。
Q じゃあ、ドナーは少ないのかな。
ヨ 外国に比べて少ないですね。臓器移植のドナーは、人口100万人当たりで最も多いスペインが49人、次いで米国の36・88人に対して、日本は0・99人です。
Q ずいぶん差があるね。
ヨ でも、だんだん増えているんですよ。日本初の脳死移植は1999年ですが、それから10年ほど、脳死ドナーの数は年10人前後でした。ここ数年は毎年50人を超え、2019年には最も多い97人になりました。20年は新型コロナウイルスの感染拡大が影響したのか前年より減りましたが、それでも約70人になっています。
Q 提供したいと思う人が増えているのかな。
ヨ 国のアンケートでは、若い人ほど提供に前向きでした。ただ、病院の体制が整っていなくて意思表示が生かされないこともあります。
日本救急医学会が大学病院や救急病院を対象に行った調査で、1割以上の病院で医学的な理由とは別の様々な事情で意思表示があっても提供できない例がありました。臓器提供のための転院は禁止されていますが、半数以上の病院が「転院すれば提供できるなら転院させたい」と答えました。善意を無駄にしない、しっかりした体制づくりが大切です。
(高梨ゆき子、取材協力=江川裕人・日本移植学会理事長、林宗博・日本赤十字社医療センター救命救急センター長)
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