文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

シンガー・ソングライター 岡村孝子さん

一病息災

[シンガー・ソングライター 岡村孝子さん]急性白血病(3)当たり前の幸せ実感

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
[シンガー・ソングライター 岡村孝子さん]急性白血病(3)当たり前の幸せ実感

 抗がん剤治療を経て2019年7月末、赤ちゃんのへその緒と胎盤にあるさい帯血の移植を受けた。移植自体は、カテーテルを通して20分ほどで終わったが、移植の前に行った3回目の抗がん剤治療は、白血病細胞を全滅させる強力なものだった。

 その頃のつらかった時間のことはよく思い出せない。日記には「吐き気と耳鳴りがジェットコースターのようだ」とある。確かに何度も吐き、高熱も出た。

 「何もできないくらい体がだるい時『もうダメなのか』って投げやりな気持ちになったこともありました」

 体調によって、気持ちは前向きになったり落ち込んだり。大学生の娘が母を励まそうと、5月に発売されていたCDを買ってきた。「復帰コンサートで何を歌うか考えたら」。温かく背中を押された。

 退院も近いある日、ベッドから起き上がろうとしても、腰が痛くて体を起こせない。治療で大量のステロイド剤を使ったため骨がもろくなり、背骨が6か所も圧迫骨折していた。大変な治療だったと思う。そのかいあって、移植したさい帯血は順調に血液を作り、回復に向かっていた。

 19年9月20日、入院から5か月で退院。外に一歩踏み出すと、風を感じた。日差しは明るく、鳥の声が聞こえる。「当たり前って、なんて幸せなことなんだろう」と感動が胸に迫った。

シンガー・ソングライター 岡村孝子さん(58)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

sokusai_117

 
 

一病息災の一覧を見る

シンガー・ソングライター 岡村孝子さん

最新記事