楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
介護・シニア
変わってきた55歳の「定年前研修」 再雇用後の待遇にも差がつく時代に?
「現役時代」と「シニアライフ」の節目は、言わずもがな定年です。それに備え、大企業などで55歳前後に行われているのが、いわゆる「定年前研修」ですが、「近頃、その目的が違ってきていると感じます」と言うのは、特定社労士でキャリアカウンセラーの守屋三枝さんです。
「ここ、4~5年でしょうか。それまでは、『定年後の充実した人生を過ごすために』といったことが主軸だった研修プログラムが、『定年後も会社に残ることを選択するのであれば、どう貢献するのか?』ということを具体的に考える場となっているように思います。『定年後も会社に残るのなら、しっかり活躍してほしい』という企業側のメッセージを感じます」と守屋さん。
一方で、再雇用される側の意識も、変化しているようです。「これまでは、『いずれ年金がもらえるので、再雇用後に給料が減ってもいい』と考えるか、『だったら、もうリタイアする』と考えるか……という雰囲気でしたが、現在55歳前後の人の多くは、『年金をもらえる65歳までは就業し、しっかり働きたい』と思っているように感じます」(守屋さん)

イラスト:平松昭子
同一労働・同一賃金がもたらすもの
厚生労働省は、 同一労働・同一賃金 を推進しています。正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止され、同じ仕事をしているならば、同じ給料を支払うという方向に、法律は整備されつつあるのです。
これを受けて、定年退職をした後の社員(定年後嘱託社員)が、同じ仕事をしている現役社員と賃金が違うのは、労働契約法20条に違反する「労働条件の相違」があると主張した裁判が最高裁で争われました。
こうした動きの中で、「再雇用後は、一律に賃金が下がる」ということではなく、企業側も、職務内容の違いや実績、貢献度等を再雇用後の賃金に反映させていくことになると見られています。
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