文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

医師が教える「女と男、髪と地肌の話」 田中洋平

医療・健康・介護のコラム

加齢で目が小さくなってきた? 目の周囲の皮膚を改善すれば、心も体も元気になれます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 鏡の前で、「なんだか私、目が小さくなったな」と感じたことはありませんか。

 実際に、眼球のサイズが激しく小さくなることはありませんが、加齢、そして眼瞼下垂などの影響で、周囲の皮膚が伸び、眼輪筋という目を閉じる筋肉が頑張ってしまうことで、しぼんで小さく見えてしまうことはあるのです。

 前回は髪の毛とまぶたの関連についてお話しましがが、今回は目について、もう少し突っ込んだ解説をしたいと思います。連載のテーマである「髪と地肌」からは、少し離れてしまいますが、ご容赦ください。

目がしぼんでいくのは男女共通

加齢で目が小さくなってきた? 目の周囲の皮膚を改善すれば、心も体も元気になれます

 人の顔の中でも、もっとも形容表現が多いのは、間違いなく目です。

 「大きい」「小さい」「丸い」「吊り上がった」「垂れた」「切れ長の」「すっきりした」「涼しい」「腫れぼったい」「ぱっちりした」「華やかな」「アーモンド型」「くりくりした」「落ちくぼんだ」「力強い」……、まだまだありそうです。それぐらい、目の形について言い表す言葉はとても多いですね。

 というのも、男女を問わず、顔の第一印象を決めるのは、髪の毛、そして目の形だからだと思います。スタイリングの自由さがある髪形とは違って、目の形は決定的。とくに女性はメークでももっとも力を入れるパーツです。形成外科で、日々、患者さんと向き合っていると、ご自分の目の形に100%満足されてる方は決して多くありません。「もっと、こうならいいのに」と思う患者さんのほうが圧倒的です。

 だからこそ、加齢や眼瞼下垂で小さく見えるようになると、みなさん、とても気にされるようです。ただ、皮膚が伸びたり、筋肉の過剰収縮でしぼんしまう状態が、自然に改善することはありません。手術により治療することが必要になります。

 最近、東京から50代の男性、石川県から50代の女性が、まったく同じ相談内容で、相次いで私のクリニックに来院しました。

 「目の周りの皮膚が伸びてきて、目がしぼんで小さくなった。何とかしたい」ということでした。同じ世代とはいえ、性別の異なる患者さんです。これは男女共通の悩みであることを、あらためて実感しました。

 診察すると、お二人とも、実際に目の周辺の皮膚がとても伸びていることがわかりました。二重のラインが見えないくらい、そしてまつ毛も短く見えるくらい、上まぶたの皮膚が伸びて垂れ下がっています。さらに、眼輪筋という目を閉じる筋肉がこわばって、目もしぼんで小さく見えておりました。

 そこで、どちらの患者さんにも、先月、このコラムで書いた眼瞼下垂の手術を行いました。眼瞼挙筋を本来あるべき位置に戻して、目が開けにくくなっていた構造を改善し、余った皮膚、それに眼輪筋も減らしました。目を大きく開けやすくなったことで、ものが見やすくなって、毎日が楽しいと喜んでおられました。

顔の緊張状態を緩和

 以前からお話しているように、眼瞼下垂の治療は、見た目、つまり美容面だけの効果ではありません。2人の患者さんは、術後3か月で交感神経過緊張状態の改善し、頭痛、肩凝り、冷え性などの悩みも劇的になくなったと、うれしい報告をしてくださいました。

 たとえば形成外科の治療に、目頭( 蒙古襞(もうこひだ) )の切開があります。聞き慣れない言葉かもしれませんが、蒙古襞とは、目頭の部分を上から皮膚が覆いかぶさるように出ているひだのことです。手術によって、これを取ると、目がぱっちりとして、華やかな印象になります。これも、見た目だけのメリットではありません。蒙古襞があると、上まぶたの鼻側の皮膚皮下組織が強く下に引っ張られてることで、ひきつってしまい、目を開けるのに不利です。これを、目頭切開で治療すると、すごく楽になります。

 「形成外科の手術はちょっと……」と思われる方なら、目頭切開の代わりに鼻筋にヒアルロン酸を注入して、少し鼻を高くすると、目頭付近の皮膚が鼻側に寄せられて目を開けるのが楽になります。これなら負担が少ないです。

 いずれにせよ、細かい作業をする時間が長い方、目を酷使されている方には、蒙古襞の治療はお勧めできます。

 強い蒙古襞があるため、目が開けにくくて辛いと受診される患者さんはとても多いのです。私のクリニックで眼瞼下垂の手術を受けたことがある、長野県にお住いの30代の女性は、数年は調子が良かったのですが、目頭には強い蒙古襞があったため、さまざまな交感神経過緊張状態による症状に悩まされていると、改めて相談に見えました。

 診察すると、目の周りの皮膚が伸びた上に、目頭のツッパリが強かったため、上まぶたが開けにくい状態でした。そこで、目頭のツッパリを緩めて、目を開けにくくしている構造を改善し、余った皮膚を減量しました。術後6か月は、目頭の傷が赤くなり、少しつらそうでしたが、そのうちに顔全体の緊張状態が緩和され、長時間目を開けていても疲れなくなったと喜んでいました。

 現代の形成外科治療なら、外見面の悩みはかなり解消できる技術になっています。ただ、見た目だけでなく、心が元気になったり、日常のQOLを上げたりする治療もできる時代になっているのです。(田中洋平 形成外科医)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

tanaka-youhei_prof

田中 洋平(たなか・ようへい)

 クリニカタナカ 形成外科・アンティエイジングセンター(長野・松本市)院長 新潟薬科大学客員教授、東京女子医科大学非常勤講師。1975年生まれ。

医師が教える「女と男、髪と地肌の話」 田中洋平の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事