Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」
医療・健康・介護のコラム
髪の毛だけでなく、眉毛まで抜いてしまった抜毛症の子
こんにちは。皮膚科医のえんどこです。
テレビで先日、新型コロナウイルス感染のために髪の毛がたくさん抜けるようになって、ショックを受けているハリウッド女優の映像が流れていました。必ずしもコロナウイルスのせいとは言えないと思いますが、著名人がひと言発すると、影響を受ける方はたくさんいます。
外来で、ある患者さんから「最近、髪の毛がたくさん抜けるようになったのですが、私は(無症状の)コロナ感染者なのでしょうか?」という質問を受けました。私は正直に「申し訳ないですが、わかりません。コロナウイルス感染と髪の毛が抜けることについての因果関係もまだ何もわかっていませんし、そもそも○○さんがコロナ感染者かどうかということもわかりかねます。ごめんなさい」という返事にとどめました。
一斉に髪の毛が抜ける「急性休止期脱毛症」
ですが、これは新型コロナウイルスに限った話ではなく、インフルエンザなどでも言われている「急性休止期脱毛症」のような気がします。ウイルス感染などで高熱が数日続くようなことがあると、それが原因でしばらくたってから一斉に髪の毛が抜けるようになるのですが、毛根は保たれていますし、切れ毛もなく、局所的ではなく、全体的に抜けることが特徴です。ハリウッド女優の頭皮を観察したわけではないので何とも言えませんが、おそらく似たような経過なのではないかと思っています。
脱毛症にもいろいろあります。円形脱毛症は、精神的ストレスが原因と言われていますが、必ずしもそうではなく、全く理由がなく抜けてしまう方もかなりおられます。新社会人が、それまでの学生生活とは違う慣れない仕事のストレスで円形脱毛症を生じるのはよく聞く話ですし、私も同様の患者さんを診察することはあります。
自分で抜いてしまう抜毛症
円形脱毛症は、大抵の場合は単発で、経過をみていたら自然に治っていたというケースが多いですが、繰り返し起こる方や、他の場所にも脱毛がみられてくる方もいますので注意が必要です。あるスポーツの強豪校で 熾烈 なレギュラー争いのストレスから円形脱毛症が多発した方もいれば、いくら勉強しても成績が上がらない受験のストレスから、自分で自分の髪の毛を抜いてしまっている方もいました。抜毛症(トリコチロマニア)といい、癖のように抜いてしまうのです。
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