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子どもの健康を考える「子なび」

医療・健康・介護のコラム

皮膚のトラブル(6)アトピー、感染症併発に注意

  皮膚のトラブルでは、大阪医科大の森脇真一教授(59)に聞きます。(聞き手・東礼奈)

皮膚のトラブル(6)アトピー、感染症併発に注意

 11月下旬、8歳の男児を連れた母親が「夜かゆがって寝ないんです」と言って来院しました。1歳頃から毎年冬に全身の皮膚が乾燥し、体や手足にかゆい発疹が出るそうです。学童期に特有のアトピー性皮膚炎でした。

 小児のアトピー性皮膚炎は乾燥肌とアレルギーの体質が原因です。10人に1人程度がかかるとされ、発症年齢で湿疹の出やすい箇所や症状が異なります。

 前回取り上げた乳児期(2歳未満)は顔や頭が中心です。体幹、四肢の屈曲部にも見られますが、幼児期から学童期(2~12歳)ではそれが顕著で、首や手首、足首などでも目立ちます。

 湿疹が長期化すると、かき傷が増え、頻繁にかいた部分の皮膚が分厚くなります。体幹の皮膚は乾燥が進んで「アトピー皮膚」と呼ばれる鳥肌のような状態になるほか、耳のつけ根が切れて赤くなる「耳切れ」を起こすこともあります。血液検査をすれば、ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの毛など、環境中の様々なアレルギー物質への反応が表れます。

 患者の皮膚は細菌やウイルスなどに対する防御機能が低く、水いぼや、とびひなどの感染症を併発しやすくなっているので、注意深い観察が必要です。治療ではステロイドや、2歳以上が対象の免疫抑制剤のタクロリムスを塗り、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤を飲みます。

 再発や悪化を防ぐためには、部屋を清潔に保つだけでなく、屋内でペットを飼うのをやめるなどし、発症・増悪の原因を取り除かなければなりません。ヘパリン類似物質などが含まれた保湿剤でスキンケアを日々しっかり行い皮膚の潤いを保つことも重要です。

【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
 皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。

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