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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

ネット購入、手作りの子ども服には注意して! ひもやフードで首絞まり死亡事故も…カワイイだけで選ばない

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 前回は、ひもやベルトの危険性についてお話ししました。今回は、子ども服についてです。服は毎日着るものなので、その危険性について知っておいていただきたいと思います。

ネット購入、手作りの子ども服には注意して! ひもやフードで首絞まり死亡事故も…カワイイだけで選ばない

イラスト:高橋まや

玄関ドアの取っ手にフードが

  事例1 :3歳女児。2008年11月、広島県の幼稚園で、滑り台の手すりに防寒着の一部がひっかかって首が絞まり、9日後に死亡した。

  事例2 :4歳9か月女児。12年3月、父親と7歳の兄は居間でピアノを弾き、母親は台所にいた。午後1時30分頃、家族は、女児が玄関の戸を開けて外出した気配を感じた。約10分後、女児の所在が気になった母親が玄関に行ったところ、開き戸の取っ手の下部分に、女児の着ていたパーカのフードが引っかかった状態で、戸は閉まっていた。女児の泣き声が外から聞こえたため、外開きの戸を開けると、パーカが女児の首に巻きついた状態であった。慌ててパーカを脱がせ、助け出したところ、 (せき) をし始めた。意識はあったが、口唇の色は黒かった。1時間後に入院。目のまわりにうっ血斑、首の前方に線状の皮下出血が認められた。状況から、パーカのフードが引っ張られて首が絞まったと推測された。入院後は特に状態の悪化は認めず、翌日には退院となった。

子どもの方が危険性をよく知っている

 子どもが入園するとき、園側から、「フード付きの洋服や、ひものついたパーカは着せないでください」と指示されたことがあるのではないかと思います。その理由の説明はないと思いますが、「友達がフードを引っ張り、子どもの首が絞めつけられて吐く、子ども同士でパーカのひもを引っ張り合い、転倒して首が絞まりそうになる」などを避けるための指示なのです。

 2007年3月、東京都の商品等の安全問題に関する協議会(現・東京都商品等安全対策協議会)から、「 子ども用衣類の安全確保について 」という詳細な報告書が出ていますが、その中で、子ども用衣類で「危害、危険、ひやり・ハッとしたことがある」人は77%、実際にケガをしたのは17%と報告されています。

 子ども服は、保護者が購入することが多いものですが、子どもたちは、学校の鉄棒や教室の机、イスなどにひもが引っかかる経験をしており、子どもの方が服の危険性をよく知っています。服の一部が首を絞めつけると窒息という事態になりますが、上着のすそやズボンのひもがドアに挟まれたり、自転車の車輪に引っかかって転倒したりといった事故も起きています。

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。キッズデザイン賞副審査委員長、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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