僕、認知症です~丹野智文46歳のノート
医療・健康・介護のコラム
まるでギャンブル? 「使いたい」と思えない成年後見制度
楽しみを失ってお金を払う
……これ、たまたま気の合う人が選ばれればラッキーですが、価値観が違う人だったら最悪だと思いませんか?
私自身は競馬はやりませんが、好きな人の気持ちはわかります。生活に支障のない範囲で、ちょっと馬券を買うくらいは認めてほしい。でも、後見人が「競馬は賭け事。ダメ絶対」と思っている人だったら、「あなたの財産を守るため」と、全面的に禁じられてしまうかもしれません。
頑張って稼いだお金を自分の好きなことに使えないなんて。その報酬として、月に数万円程度を支払わねばならないと聞いて、率直に「こんな制度、使いたくないなあ」と、思ってしまったのでした。
私たちも無関心ではダメ
実際にはそんなケースばかりではないでしょうし、後見人がいてよかったということも、もちろんあるでしょう。ただ、自分自身のこととして考えると、成年後見という形をとらなくても、家族や信頼できる仲間がそばにいて、本人の気持ちをよく聞いて、一番いいと思える選択をしてくれれば、それでOKなんじゃないの?とも思いました。現実には、そうはいかない場合も多いから、この制度ができたのでしょうが……。
本来は私たちを支えてくれるはずの制度なのに、いままで何も知らずにいたことを反省しました。私がフォーラムに呼ばれたのは、当事者の声に耳を傾けて制度をよりよくしていこうという動きが、ようやく始まろうとしている表れでしょう。今後に期待しつつ、「成年後見制度があるから安心だ」と思える仕組みになるよう、私たちもどんどん意見を言っていかねばと思いました。(丹野智文 おれんじドア実行委員会代表)
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