田村専門委員の「まるごと医療」
医療・健康・介護のコラム
意思確認の話し合いに本人参加は1% 介護医療院調査
意思確認をするための仕組みづくりを
シンポジウムには、医師(大学教授)や老年看護が専門の看護師、特別養護老人ホームの介護福祉士らが参加。認知症のケアを積極的に進める医療現場では、多職種によって日頃から患者本人の意思をくみ取るための取り組みが従来行われている一方、本人の希望と家族の意向が食い違ってしまう場合も現実にあることなどが示された。
シンポジウムの座長を務めた田中氏は「病院でも日頃から、認知症の患者さん本人にどうしたいのかを聞くこと、自分がされたら嫌なことは患者さんにしないことを実践している。認知症だから意思表示できないということはない」と強調した。ただし、認知症などの病状が進めば、それだけ意思をくみ取るのが難しくなることから、たとえば介護保険の利用開始時に意思表示をできるようにするとか、それがデジタルで記録されて地域に引き継がれていくといった、患者の意思が尊重されるための仕組みづくりを国に求めていく必要があると述べた。
そのためにはまた、急性期医療に携わる医療者にも治療後の生活を大切にする意識を共有してもらうことも重要だとして、医学教育においても慢性期の医療機関での研修を取り入れてはどうかと話した。田中氏は「患者さん本人の意思をどれだけ大事にしていくか、どれだけ早い段階から広めていくことができるかという、大きな課題が改めて見えてきた」などとまとめた。(田村良彦 読売新聞専門委員)
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