文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

意思確認の話し合いに本人参加は1% 介護医療院調査

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

意思確認をするための仕組みづくりを

 シンポジウムには、医師(大学教授)や老年看護が専門の看護師、特別養護老人ホームの介護福祉士らが参加。認知症のケアを積極的に進める医療現場では、多職種によって日頃から患者本人の意思をくみ取るための取り組みが従来行われている一方、本人の希望と家族の意向が食い違ってしまう場合も現実にあることなどが示された。

 シンポジウムの座長を務めた田中氏は「病院でも日頃から、認知症の患者さん本人にどうしたいのかを聞くこと、自分がされたら嫌なことは患者さんにしないことを実践している。認知症だから意思表示できないということはない」と強調した。ただし、認知症などの病状が進めば、それだけ意思をくみ取るのが難しくなることから、たとえば介護保険の利用開始時に意思表示をできるようにするとか、それがデジタルで記録されて地域に引き継がれていくといった、患者の意思が尊重されるための仕組みづくりを国に求めていく必要があると述べた。

 そのためにはまた、急性期医療に携わる医療者にも治療後の生活を大切にする意識を共有してもらうことも重要だとして、医学教育においても慢性期の医療機関での研修を取り入れてはどうかと話した。田中氏は「患者さん本人の意思をどれだけ大事にしていくか、どれだけ早い段階から広めていくことができるかという、大きな課題が改めて見えてきた」などとまとめた。(田村良彦 読売新聞専門委員)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

tamura-yoshihiko_profile

田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

田村専門委員の「まるごと医療」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事