リングドクター・富家孝の「死を想え」
医療・健康・介護のコラム
コロナ禍の下、女性の自殺者が激増、日本の女性差別が生み出す悲劇
新型コロナウイルス感染の第3波が拡大するなか、本当に悲しいことが起こっています。それは、自殺者の増加で、とくに女性の自殺者が爆発的に増えていることです。
警察庁の発表によると、2020年10月の自殺者数(速報)は、2153人と昨年同月比で39.9%も増加しています。新型コロナのパンデミックが起こってから、4月、5月は昨年よりも減っていたのに、7月から増加に転じ、8月17.8%増、9月10.0%増となりました。それが、10月にはなんと39.9%増という増加率を記録してしまったのです。
コロナは女性の暮らしを直撃
そんななかで驚かされるのが、女性の自殺率の急増です。8月に昨年同月比42.2%増を記録するや10月はなんと82.6%の大幅増加になりました。これは、コロナ禍がなければ考えられない数字で、コロナ禍が日本の女性の暮らしを直撃したことを表しています。
女性のなかでも40歳代の自殺が142人と前年同月の2倍に達しています。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、収入の減少や育児や介護、家庭内の問題などの深刻化が指摘されています。厚労省では、「自殺はその多くが追い込まれた末の死であり、その多くが防ぐことができる社会的な問題」と対策を講じることを表明しています。
女性差別という日本の社会の闇
しかし、コロナの収束も見えない中で、これほどの大問題を一朝一夕に解決できるとはとても思えません。なぜなら、女性の自殺の増加の背景には、女性差別という日本社会の闇が大きく影響しているからです。いくら働いても報われない。一人では独立した生計を営むのが厳しいという現実の中にいる日本女性は少なくありません。
日本が女性差別の国であることは世界的に有名です。世界経済フォーラム(WEF)による「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2020」では、日本はなんと121位(153カ国中)で、主要先進国の中では最下位。中国の106位、韓国の108位よりも低い、後進国なのです。
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この傾向に思うところありです。
海外シングルマザー
初めまして。 米国で二児の子育てをしている40代シングルマザーです。 在米暦は18年になりますが、心理職のキャリアを積み始めて12年目です。 こ...
初めまして。
米国で二児の子育てをしている40代シングルマザーです。
在米暦は18年になりますが、心理職のキャリアを積み始めて12年目です。
このコロナ禍で、4月から日本に本帰国しようかと、ずっと悩んできました。
家族の存在が近くにいないことが、身に染みて仕方がなかったためです。
しかし10月に、衝撃的な内容のニュースを英語で目にしました。
このコラムの内容とほぼ同じものでした。
改めて本コラムを読んで、本帰国をするには至っていない現在、何が私を留まらせたのかと掘り下げて考えてみました。やはり、帰国後の就職状況はもちろん、日本でのシングルマザーとしての社会的な地位の低さ、世間の目に、どうしても足を踏みとどまらせている状況なのではないかと思い至ります。
40代女性が追い詰められた末の自殺、とありますが、自分と重ね合わせ本当に心が痛みます。周りから見て順風満帆にみえる女優さんでさえ追い詰められる社会。やはりどこかが歪んでいるのだと、私を育ててくれた社会に、愛情と公正な目を持ってしても感じてしまいます。自身の日々の生活に追われながらも、何か、少しでも恩返しをしたいと願う日々です。
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