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大人の健康を考える「大人び」

医療・健康・介護のコラム

脚の痛み(8)術後 痛くてもリハビリを

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 このシリーズでは、関節外科が専門で関西労災病院(兵庫県尼崎市)副院長の津田隆之さんに聞きます。(聞き手・長尾尚実)

脚の痛み(8)術後 痛くてもリハビリを

 脛骨けいこつ の一部を切り取って膝の関節の角度を調整する手術や、人工膝関節を入れる手術をした後に大切なのがリハビリです。そのままにしておくと膝関節全体が硬くなってしまうため、術後すぐから膝の曲げ伸ばしを繰り返し、柔軟に曲がるよう練習してもらいます。かなりの痛みがありますが、頑張らないといけません。

 手術をした場所は炎症を起こして分厚くなります。けがをすると周りの組織が盛り上がって治っていくのと同じです。膝関節の周囲にある 靱帯じんたい や筋肉も手術後に硬くなりやすく、そのまま固まってしまうと、関節を動かせる範囲が限られてしまいます。

 できるだけ軟らかい関節、筋肉の状態を取り戻すには、膝の曲げ伸ばしの練習が手術後1、2日目から必要です。ベッドに寝たまま自動的に曲げ伸ばしする機械を使うなどしてリハビリをします。膝が腫れ上がった状態で練習するので当然、痛みを伴います。

 初日は45~60度しか膝の曲げ伸ばしができませんが、少しずつ広げていきます。個人差はありますが1週間で約90度が目標です。この頃には炎症が引いてくるので、比較的楽になるでしょう。

 膝関節が元々硬いと広がりにくく、苦戦する人もいます。硬いままだとリハビリ期間を延ばすか、在宅復帰に向けて専門職の指導で集中的に行う「回復期リハビリテーション病棟」のある病院への転院を検討します。

 リハビリの目標は自宅で不自由なく生活できることです。近所を散歩したり、スーパーに買い物に出かけたり、一時は難しかった行動ができるようになります。再び歩くために手術を受けたのですから、地道に取り組みましょう。

津田隆之さん

【略歴】
 津田 隆之(つだ・たかゆき)
 三重県多気町出身。1982年、大阪大医学部卒、90年、同大学院修了。星ヶ丘厚生年金病院(現・JCHO星ヶ丘医療センター)整形外科部長、箕面市立病院医務局次長などを経て、2017年4月から現職。専門は関節外科、骨粗しょう症の疫学。市民向け講演会などで、脚の痛みを起こす病気や治療法、転倒予防について解説している。

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