文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

医療・健康・介護のニュース・解説

再感染防ぐ「中和抗体」、半年後も98%が保有…ワクチンに期待

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 横浜市立大学の研究グループは2日、新型コロナウイルスに感染したことのある人のほとんどが、半年経過しても感染を防ぐ力を持つ「中和抗体」が残っていたとする研究結果を発表した。感染して回復した370人以上の血液を調べた。ワクチンが普及すれば中和抗体を持つ人が増え、感染の拡大防止につながる可能性が示された。グループは、感染から1年後に中和抗体が残っているかどうかについても調べる計画だ。

 グループは、新型コロナの回復者に協力を呼びかけ、9月末までに約620人が登録された。今回の研究で解析対象となったのは、20~70歳代の376人。無症状や軽症の人は280人、酸素投与を受けた中等症の人は71人、人工呼吸器を使うなどした重症者は25人だった。

再感染防ぐ「中和抗体」、半年後も98%が保有…ワクチンに期待

 研究では、グループが独自に開発した精度の高い検出法を用いた。その結果、全体では98%の人が、感染から6か月たっても中和抗体を保有していた。無症状や軽症の人は97%、中等症や重症の人はそれぞれ100%だった。重症度が高いほど、中和抗体の強さが大きく、感染を防ぐ効果が高まる傾向がみられた。

 抗体は、ウイルスに感染した後にできるたんぱく質で、複数の種類がある。このうち中和抗体はウイルスにくっつき、細胞への感染を阻止する働きがある。中和抗体があれば、再感染するリスクは低いとされる。

 グループの山中竹春教授(臨床統計学)は「自然に感染した場合とワクチンを接種した時では、感染の条件は同じではないが、今回の結果は、ワクチン開発にも一定の期待が持てるものではないか」としている。

集団免疫の成立期待

 新型コロナの感染が中国で確認されてから1年。ウイルスの性質は今も不明な点が多く、今年前半には中国などで「回復者の抗体量が数か月で急減する」という報告が相次いだ。感染を防ぐ中和抗体が短期間で消えるなら、人類の多くに免疫がついて流行が収まる「集団免疫」の成立は期待できず、ワクチンを開発しても制圧は困難になる。横浜市立大学のグループは今回、回復者の抗体量を測るだけでなく、新型コロナと同じ仕組みで細胞に感染する人工粒子を作り、感染を防ぐ効果を検証した。日本人の回復者で、軽症や無症状でも長期に一定の免疫が残る可能性を示唆する。

 新型コロナの再感染の報告は、世界的に少ない。米国でも感染5か月後に90%以上の人に中和抗体があるという結果が公表された。米国で開発中のワクチンは90%超の有効性を示した。

 一方、感染初期から抗体量を追跡する英国の研究では、約2か月で中和抗体が減少するという研究も出ている。感染防御に必要な抗体量がいつまで維持できるのか、研究と議論をさらに深める必要がある。(科学部 江村泰山)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

<PR情報>

最新記事