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発熱患者が何百人も押し寄せたら…県が検査機関公表へ、「パンク」に懸念も

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 埼玉県は12月1日から、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの両方の検査などに対応する県内の全ての「診療・検査医療機関」について、県ホームページ(HP)で公表する。これまでは発熱など感染の疑いがあっても、保健所に設置されている相談窓口「帰国者・接触者相談センター」に電話が殺到し、検査がなかなか受けられないことがあった。今後は、地域の病院や診療所など、指定されている診療・検査医療機関に直接足を運び、検査が受けられるようになる。県は検査の迅速化に期待する一方、東京都や近隣県に先駆けた取り組みに、医療現場からは不安の声も上がる。

 現在の体制では主に、感染の疑いがある人はまず、保健所などの帰国者・接触者相談センターに相談。さらに「帰国者・接触者外来」(非公表)に紹介してもらい、検査を受けていた。

 12月からは、県が指定した診療・検査医療機関で検査を受け付け、検査のための検体を採取するほか、患者の症状について医師が問診するなど、一連の流れを「ワンストップ」で行えるようにする。

 診療・検査医療機関は、多くの人が「かかりつけ医」としている地域の病院や診療所が指定されており、検査を受けようという人が県HPで最寄りの医療機関を探し、予約を入れられるようにする。かかりつけ医がいない人や、夜間、休日、緊急時については、保健所の「受診・相談センター」でいったん受け付け、診療・検査医療機関に紹介する。

 県によると、今月27日時点で、診療・検査医療機関に指定されている病院や診療所は約1100か所。内科や小児科、耳鼻科など、県内に約2400か所ある発熱患者の診察をする医療機関のほぼ半数に上る。

 今回の取り組みの背景には、春にあった感染の「第1波」で、多くの県民らから相次いだ「保健所に何度電話してもつながらない」「どこで検査を受けられるのか」といった問い合わせに保健所が対応しきれず、検査に時間がかかったことがある。検査の受け付けだけでなく、感染経路の調査など様々な業務に、保健所の人手が不足し、業務が追いつかなかった。

 県幹部は「当時は県民に迷惑をかけた。これからは通い慣れた地域の医療機関で相談から検査までスムーズに受けられるようになるはず」と強調する。

          ◇

 診療・検査医療機関の公表について、「第3波」とも言われる感染拡大に直面している医療現場からは、困惑の声も聞こえる。

 指定した診療・検査医療機関を全て公表するとしているのは現時点で、全国でも埼玉、高知両県のみだ。

 越谷市医師会は10月末、今回の取り組みへの対応策について、会員医師を対象に説明会を開催した。宗岡隆史事務長は「かかりつけ医を通した検査・診療については一定の理解と協力は得られた」とする一方、「もしも1日に何百人もの発熱患者が押し寄せる事態となった場合、システムが機能するのか」と危惧する。

 自治体関係者も懸念する。県中部の市幹部は「『感染していないか不安だ』との声は多いが、地域の小規模医療機関に高齢者が押し寄せればパンクする。誰でも受けられるようにすれば際限がなくなる」と話す。

 「感染を恐れ、一般の患者が来なくなるのでは」との不安も医療関係者には根強い。県医師会の金井忠男会長は「地域に偏りなく、多くの医療機関を指定することで、風評被害の心配は減らせる」と話す。

 だが、小規模の診療所などでは、新型コロナの疑い患者と、それ以外の患者を分けて動線を確保することは難しいこともあり、診療・検査医療機関への指定に消極的な医師もいる。

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