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男女共用・個室化・洋式多数…進化する「学校のトイレ」

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 これまで汚いイメージが強かった公立学校のトイレが変わり始めている。時代の流れでトイレの洋式化が進んでいるほか、男子トイレをすべて個室化したり、男女共用のトイレを設けたりする学校もある。トイレメーカーの担当者は「学校のトイレは子供が安心できる場所として生まれ変わりつつある」としている。(木田滋夫、伊藤甲治郎)

■広くてきれい

「みんなのトイレ」内の個室トイレ。扉には男女共用を示すプレートが掲げられている(今年10月、愛知県豊川市立長沢小で)

 男女の児童が男子トイレでもなく、女子トイレでもなく、同じトイレに続々と入っていく――。

 そんな光景が広がるのは、愛知県の豊川市立長沢小学校の休み時間の一コマだ。

 このトイレは「みんなのトイレ」と呼ばれ、トイレ内に▽女子用▽男子用▽男女共用▽男女共用で車いすでも利用可▽男子用小便器――の計五つの個室があり、どれを使うか児童が選ぶことができるようになっている。

 同市では、トイレについても快適さを追求しようと検討を進めたところ、結論は自宅のトイレと同じ男女共用にすることで落ち着いた。2016年度から市立小中学校で男女共用化のトイレ設置を始め、これまで26小学校のうち15校で、10中学校のうち5校で整備された。大手トイレメーカーなどで作る「学校のトイレ研究会」によると、こうした事例はまだ珍しいという。

 同小には18年度に校舎1階に設置され、斎藤泰伸校長(60)は「児童からも『広くて、きれいで、気持ちいい』と好評です」と胸を張る。東京都国立市でも、小学校1校で22年度に始まる校舎の新築工事に合わせて、男女共用トイレの設置を検討している。

■和式は4割

 学校のトイレと言えば和式のイメージが強いが、その光景も変わりつつある。

 文部科学省によると、今年9月現在、公立小中学校のトイレは57・0%が洋式化されている。16年の前回調査(43・3%)からは13・7ポイントも増加し、和式を逆転した。

 背景には、校舎の耐震化や教室のエアコン設置などの整備が進み、ようやくトイレにも改修や整備の順番が回ってきたこともある。

小便器が撤去され、個室だけになった男子トイレ(今年10月、佐賀県鳥栖市立基里小で)

 佐賀県鳥栖市では3年前から、小中学校の男子トイレを洋式化するのに合わせて、小便器を撤去して個室に改修している。市立基里きざと小学校では小便器18基が撤去され、洋式で個室化されており、同小の木村嘉身校長(55)は「みんなが気持ちよく過ごせる空間になった」と話す。

 学校現場には依然として和式が約4割残るが、文科省の担当者は「駅などには和式便器があるため、使い方を学ぶために教育委員会の中には和式を残したいという考え方があるようだ」と説明する。

■LGBT配慮

 トイレについては、性的少数者(LGBT)からも配慮を求める意見がある。

 TOTO(福岡)とLGBT総合研究所(東京)が18年に、LGBTら1136人に行ったアンケートでは、心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」の人が、体の性に応じたトイレを使うことに違和感を覚えた時期は、「10~12歳(小学高学年)」と「13~15歳(中学生)」が各14・3%で最多だった。

 性的少数者を支援するNPO法人「ReBit(リビット)」(東京)の小川奈津己さん(31)は、「男女別のトイレに抵抗感があるなら多目的トイレを使えばいいという意見もあるが、それがいじめにつながるリスクもある」と話す。

 TOTOの担当者は「学校のトイレは大きく変わりつつある。衛生面はもちろんだが、個室化や共用化なども含め、子供が安心できる空間であることが大切だ。保護者も学校訪問時に実際に見て、改善点があれば学校に相談するなどして、トイレの環境向上に関心を払ってもらいたい」としている。

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